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ポスティングに行こう!

ポスティングは、楽しくて好き。

でもきっと、それは最初の店でのこと。
あれこれ行ったことのない道に行ってみるのはわくわくした。
二番目の店では、都心を離れた住宅地で、どうも魅力に欠けた。

昔からの住宅街にはごちゃごちゃしたところがあって、いろいろな発見があった。
「こんなところにこんな細~い道が!」とか「このすき間を行ったらどこに着くんだろう?」とか。
突然、階段が現れると、階段の向こうって見えないので、好奇心を刺激されたり。

最初の店には、店を中心に大きく分けて3つの範囲があった。
店の左には×××通り、店の右をずっと下っていくと○○○通りがある。

×××通りは、駅からずっと通じている道で、にぎやかな通り。
車も人もバイクも自転車も、実に多くて危険なくらいの通り。

○○○通りは、片側二車線ずつある、車通りの多い幹線道路。

ポスティング地区は次の3つ
1.店の周辺:×××通りと○○○通りにはさまれた地域
2.×××通りを渡った向こう側:一戸建てが多い アパート・マンションは小さめ
3.○○○通りを渡った向こう側:大きなマンションが多い

やりやすいのは3で、面白いのは2・・・・・・
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雪の日のポスティング

こんなに雪が降っていると、思い出す。
雪の中の歩スティング。

寒いせいか、ちょっとサボってしまったその月。
「いくらなんでも、そろそろ行かなきゃね」
と言っていた矢先、大雪が降った。

東京なのに何センチもの積雪。
まだ絶え間なく降り続いている。
「でも大丈夫、行ってきますよ」

そうして雪の中出かけた。
楽しかった――!

雪に囲まれた空間に、閉じ込められているみたい。
傘をさしているから、空とも隔絶されて、本当にわたしだけの空間みたい。

広いけれど、閉ざされている。
雪のために、音もなく、静か。

楽しくて心が躍った――!
見慣れた街角も違って見えるし、想像の国にでもまぎれこんだみたいで。

もしかしたら、閑散期の毎日、店という閉塞空間で同じ相手とずっといるのに疲れていたのかも・・・・・・

炎天下ポスティング

こんなに暑い日に空を見上げると、思い出す。
夏の日のポスティング。

あの日は、午後、暑い盛りに出かけた。

日は照りつけたけど、ほっとしていた。
お客さんの来ない時間をひたすら毎日、同じ人とおしゃべりして過ごしていたから。
どんなに面白い話でも、どんなにいい人でも、ちょっと離れたほうがいい。
お店でお留守番していたベテランマネージャーもほっとしてたと思う。

暑さに辺りがゆらめいて見える日の昼下がりで、外にいる人は少なかった。
大通りを離れて、住宅街の中をポスティングして歩いていると、本当に人がいなかった。

「暑さ」という空間の中に閉じ込められている、自分。
人がいない路地は、まるでわたしだけの部屋のようで、落ち着いた。

わたしは、狭いところに入りたがる猫の気持ちが、少しわかるような気がする。

住宅街の、袋小路の家々に割引ハガキを入れ、ふと見ると、細く狭い道があった。
袋小路と思っていたけれど、どこかに出られるみたい。

入ってみると、階段にたどりついた。
上ってみると木陰があった。
神社の境内に続いていた。

ああ、あの住宅街とこの神社は、こうして裏側でつながっていたのか。

まじめに配って歩いていたから、ほんの数分ひとやすみしてもばちは当たらないだろう。
そう思って木陰のベンチに座って、汗を拭いた・・・・・・

ポスティングについて

わたしが働いた会社では、ドライクリーニング品の割引券を配ることが多かった。
ハガキ大くらいの大きさで、それを一緒に持ってくると、割引になる。
回収してしまうので、1回しか使えない。

これは、たくさん持ってきてくれるといいなぁ、という他に、顧客じゃない人にも存在を知らせる意味もある。
それともう一つ。
お客さんがどの辺から来ているものなのか、調べることもできる。

次期社長が、どこかのセミナーだか講習だかで聞いてきた話では、お客さんてものは流れがあるのだそうだ。
たとえば、駅までの道にこの店があるから、この地域の人はこの店を使っているとか、そんなこと。

いいクリーニング屋さんのほうがいいには違いないけど、なかなか流れに沿ってない店には行かない。

まあ、そうかな、と思う。
結局自分だって、近いとか、スーパーへ行くついでに出せるとか、そんな理由で選ぶもんね。

これが服を買うとかだと、遠くても好きな服を売っている店に行く。
逆に、「ついでだからこの店で買ってます」って人のほうが少ない。

そこで割引券には住所と名前を書く欄があって、そこに記入してもらって、どこから来ているか把握するデータとする。
これは、面倒なことにもなった。
書かずに持ってくる人が多いので、店員がいちいち「何丁目まででいいので、教えてください」と言ってそれを書かなければならなくなったのだ・・・・・・

販売促進

販売促進のために、いろいろなことが考え出される。

もっとも基本的かつ日常的なのが、一点単価を上げること。
つまり、500円のセーターを、厚手だから100円UP、カシミヤ100%だから200円UP、ビーズ飾りがついているから100円UP・・・・・・と追加していくこと。

客単価を上げることも、しかり。
つまり、700円のジャンパーに、取り外せるフードがついているから200円UP・・・・・・と加算していくこと。
これが一点単価UPではないのは、フードも1点と数えるので、一点当たりの値段は下がるから。

それ以外には、加工キャンペーン。
「今なら折り目加工1000円が、700円でできます!」とか。
値段は安くならないけど、「夏だから汗をかきます、ダブルクリーニングを!」とか。

それからセール。
どこの会社も水洗いはあまり割引しない。
原価割れになってしまうからかな。手間かかるし。

そしてポスティング。
割引チラシや、割引券を近隣の家のポストに入れ歩く。
特にわたしが働いた会社では、期間限定の割引券を配ることが多かった・・・・・・

事例:毛が出てきてしまったストール

ある日、若い主婦といった感じの女性が、店のビニールに入ったストールを持ってきた。
「これ、こちらでクリーニングに出したんですけど・・・・・・」
言いにくそうに切り出すところを見ると、厄介なクレームか――?

茶色というか、薄茶色というか、黄土色まじりのストールを取り出す。
「黒い毛があちこちについてるんです」

確かに、黒く少し縮れた毛が全体的についている。
薄めの茶色の毛の生地に、黒なので、目立つ。

黒い毛は出す前はついていなかった、ということなのだと思うけれど――
一緒に洗ったほかの品物からくっついたのだろうか?
しかし、それにしてはぴったりくっついていて、ちょっとつきましたって感じではない。
半分生地に埋まっているようなのも多いし。

ちょっと分からないな、と思うものを勝手に判断すると、後で困ることになる。
ここは慎重に「少々お時間をいただいてもよろしいですか?」と対応しておこう。
でもクリーニングの問題ではなさそうなので、念のため言っておく。
「クリーニングでこのようになるとは思えないのですが・・・・・・」

お客さんは実に言いにくそうに「なんか・・・陰毛みたいにも見えるので・・・」。
――ま、確かにそう見えなくも――でもまさかそれはありえません――

結局、見解は「安い物だと、中のほうから、織り込まれている毛が出てきちゃうんだよね」。
もちろん、「安い物だと」のところはお客さまには言えなかった・・・・・・

事例:満足しないお客さま

**さんというお客さんがいた。
最初の店に。
この人は、いつも『再洗』の品物を持ってきた。

『再洗』には、二種類ある。
1つは、仕上がった品を整理しているとき、店員が気づいて工場に戻すもの。
――これは、『再プレス』もある。シワが寄っているのを発見したとき。
お客さんが、汚れが落ちていないと言って持ってきたのを、工場に再度出すもの。
――条件としては、タグやビニール包装がついている状態で、持ち込むこと。

**さんの要求は高く、何度でもつき返される。
「これ、汚れが落ちていない」――でもそれは、仕方ない。
こういう蓄積された汚れは落ちないのだ。または、この生地は落ちないのだ。または・・・・・・。
いくら説明しても納得なさることはないので、とりあえず無料の『再洗』でお受けする。
もう一度工場に送り、なんとか落ちないか、とお願いする。

毛皮のえりがついたコートを持ってきたときは、いつまででもこれが続いた。
毛皮付きなので、料金が高い。
高い料金を払ったのだから、落とせ、と言って引き取ろうとしない。

相手が物を持ち帰ってくれないと、店にとってはいつまでも終わりにならない。

でも、落ちないものは、落ちないんだもん。
正直、店の誰もが思っていた。
そんなに仕上がりに不満なら、他の店に出してくれればいいのに・・・・・・

事例:ポストイット

スーツを出すってことは、会社員ってことだから、メモだって取る。
そして男性だったりすると、メモをとりあえずポケットに入れることはある。

たとえば、ティッシュなどが入っていたとしても、ドラムの中でくるくる回っているだけなのだそうだ。
水洗いではないので、ぐしゃぐしゃになってあたりの物にひっつくことはない。

ただワイシャツなどに入っていたりすると、水洗いするから困るけど。

ところで、ワイシャツのポケットにもメモが入っていることもある。
重いものはあまり入れないし、こちらも点検するまでもなく気づくけれど、メモは見落としがち。

しかしこのメモ、色のついたものがワイシャツのポケットに入っていたりすると――
洗いあがったとき、ワイシャツに綺麗に色が移っていることがある。
「特に、ポストイットね」――工場係長、曰く。

確かにポストイットというのは、綺麗な色がついていることが多い。
工場では一度、バッチリ色をつけてしまって、それ以来これも決まり文句と化していた。

これは洗うときというより、プレスをするときに発生する。

失敗してから、工場でもポケットの点検を強化するようになった。
「××番のワイシャツのポケットに、メモ用紙が入ってたよ。メモはねぇ、前にもあったんだけど――云々」
同じ話を何度も聞きたくなければ、点検はしっかりやらなければならない・・・・・・

事例:ボールペンのインク

男性のスーツにはポケットがたくさんついている。
両脇のポケットに胸のポケット、内ポケット、ズボンにも両脇ポケット、尻ポケット。

いろんなものが入っている。
ハンカチ、ティッシュ、名刺、名刺入れ、小銭や時にはお札、メモ、ペン――

ボールペンが入っていて、それが洗っているうちにふと壊れたりすると大変。

だからポケット点検はきちんとしなくてはならない。
でも、一度ボールペンを見逃して、内側がひどいことになった。
外までしみだした。

不幸中の幸いは、最後までポケットに収まっていてくれたこと。
同じ洗いだった周囲の品物を少し汚してしまったが、全滅ではなかった。
周りの品物は工場の社員――数少ない――が、必死で汚れを落とした。

当のボールペンが入っていたスーツは、回復不能だった。

この事件がどうなったのか、覚えていない。
お客さんの責任だから、何もせず返したのか、何かしら謝るとか何かしたのか。

しかしその後、何かというと「ボールペンなんか入っていたら大変だからね」と言われるようになったのが、大変うるさく感じられたということは、記憶に残っている・・・・・・

事例:ベルトの色落ち

またもや、白のワンピース。
でもこれは、持ってきた時点でもうシミがついていた。

お腹まわりに、青いだんだら模様。

ベルトの色が落ちて、衣服が染まってしまった。
もしかしたら、冬につけていたらならなかったかも。

夏で汗をかいたので、色が落ちやすくなった。

どうにかならないでしょうか?
――結果として、どうにもならなかった。

ベルトを染めていた色が落ちたわけだから。
染色の色がついたものはほとんど落ちない。
美容室のカラー剤、かばんの色、ベルトの色。
だって、そんなすぐに落ちたら困るもの。

ベルトやかばんの色がつくのは、色止めが甘いからである。
染色したものは、色が落ちないように色止めされている。
しかしこういうのは、しても難しい素材っていうのもあるらしく、やはり時々問題になるのだ。

わたしは美容院へは、気に入っている服を着て行きたくない。
襟にカラーの色がついたっていう品物を何度も見たから。
そして、それは決して落ちなかったから・・・・・・

事例:脇汗ジミ

女性ものが、汗ジミによってトラブルになることが多いのは、前に書いた。

ひどく問題になった記憶は、わたしが異動してマネージャーになってから。

白い綿のワンピースで、綿だけどドライ表示だった。
白いから目立つ。

ドライクリーニングだったので、汗は落ちず、そして熱で茶色く変色。
どう見ても「汗かきました」って感じ。
カーディガンでも羽織らないと、もう着られない。恥ずかしくて。

こうなっちゃいましたけど、これは汗でなったものですので、どうにもできません。

そう言われて「あ、そーなんだぁ」と快く納得する人はいない。

困るのは、一度こんなふうに変色してしまうと、今さらダブルクリーニングしても落ちないこと。
お客さんが怒っても、納得しなくても、これを落とすのは難しい。または、面倒。
面倒っていうのは、それに社員が1人かかりきるコストが割に合わないってこと。

店員は、お客さんとの間で嫌な思いをする。さらに。
「こういうのはウェットクリーニング勧めてくれないと、今回みたいなトラブル起きちゃうから」
と嫌味ったらしく言われることに甘んじなければならない。
コスト削減で、その頃にはもう接客主任課長はいなかったから。
でも工場主任課長はいるので、下っ端はおとなしく謝っておかねばならない。

でも勧めたって、お金がかかるもん、なかなかしてくれないよ・・・・・・

事例:ドルチェ&ガッバーナ

こんなブランドがあることさえ、当時のわたしは知らなかった。

これは2店目の店のお客さま。
この界隈は、中流やそのちょっと上の人が多かった。

受けたときは、『コート 白 合皮』でクリーニング代1500円ほど。

洗ったらゴワゴワシワシワになってしまい、着られたものではない。
お客さまに連絡し、確認。

どちらでお買い求めですか?――渋谷のドルチェ&ガッバーナで。
いつ頃お買い求めのお品物ですか?――今年。

たいていこういうのは最初のクリーニングで出る。
クリーニングに耐えられないわけだから、最初で出てしまうし、二度目はない。

おいくらくらいのお品物ですか?――30万くらい。

そうなの!?
知らずに預っている品物が実はすごく高いものかもしれない、ってことを、実感。
そりゃ、そうだよね~。
いくら大切だからって、遠くまでクリーニング出しには行かないもんね~。

ちなみに、渋谷の店に持っていくと快く受け取ってくれましたとさ。
お得意なので、店のほうでお客さまにはお話します、とのこと。
慣れてるふうだったよ、他にもあったんだね、このトラブル・・・・・・

事例:破れたワイシャツ

最初に働いていた店で、ある日お客さんのワイシャツの胸が破れてしまった。
それほど大きな裂け目ではなかったので、そのままプレスされて渡してしまった。

お客さんは男性で、いつも自分でワイシャツを持ってくる人。
破れてはじめて分かったが、けっこういいお値段のブランドだった。
会社でいい地位の人なんだなあ――
そうと分かると、微妙にかっこよく見えるから不思議だ。

このお客さんが出していたほかのワイシャツも、ちょうどそのとき破れてしまった。
工場が「破れが発生した」と連絡してきたら、同じ人の品物だったのだ。

結論は、「いつも胸に負荷がかかる生活習慣があり、弱っていたから破れた」。
つまりお客さまの責任・・・・・・弁償はなし。

「ゴルフか何かする人なんじゃないのかな? 何歳くらいの人?」

まあ、中年以上であることは確実な外見で、いいワイシャツ=地位高めと判明。
ゴルフくらいするかもね。

そうは言っても、何のごめんなさい料もなしで、いきなり説明はしにくいものだ。
当時のマネージャーは海千山千のベテランだったので、ワイシャツを何回か無料で洗います、と伝えていた。

会社には内緒・・・・・・

事例:溶けたボタン

洗ったら溶けてしまったボタン。
溶けてしまったものは仕方ない。
メーカー対応。

外れたボタン、とれてしまったボタンというのも、微妙に厄介。

たとえば、1つ穴のまるいボタンがついていたとする。
まるいボタンのてっぺんには、ダイヤ風に光る飾りがついていたとする。
銀の十字になっている飾りでもいいし、あざやかなビーズが数個でもいい。

それは、ボタン本体に接着剤でくっついているだけなので、ポロンととれてしまうことがある。

1日の終わりか、1回の洗いの終わりか、ある時点でドラムの中に残ったいろいろな物は回収される。
そして日付をつけた袋に入れておく。
ポケットに入ったまま洗われたハンカチだの、とれたボタンだの、飾りだの、気づかなかったベルトだの、いろいろなものが集まる。

「何日送りの品物のボタンの飾りがなくなっている」
連絡を受けた工場は、その日の近辺の日付で探してくれる。
とれた飾りが回収されているかもしれない。

だけど、回収されないとなると、困ってしまう。
そんな特別なボタンは同じものを用意するのが面倒だ。

だから、飾りのついたボタンは、ボタンくるみでくるんだり、ネットに入れたり、いろいろ防御をする。
まあ、溶けちゃうのは防げないけどね・・・・・・

トラブルを未然に防ぐ 注意書き

弁償できないようなトラブルは、解決に時間や手間がかかることがある。
お客さんが納得するまでに、何度も説明したり、上の人が出て行ったりするからだ。

そこで、少しでもそういうコストを避けるために、あらかじめ注意書きを作っておく。

「デザイン性の高いボタンは、取り外してからクリーニングに」
「ポケットの中身を点検してからクリーニングに出してください」
「時間が経つだけで、劣化する製品があります」

「汗で起こるトラブル」――これには、だからダブルクリーニングしましょうね、という宣伝付き。

こういうのは結構重要で、何かあったとき「ここに書いてあります」と言われる可能性がある。
だからわたしは、クリーニング屋さんに出すとき見るくせがついてしまった。
他によく見かけるのは――

「お引取り後3ヶ月経ったお品物についての苦情はお受けできません」
「仕上がり後3ヶ月経過したお品物についての苦情はお受けできません」
「仕上がり後3ヶ月以上引き取りのない品物の紛失については、当店は責任を負いません」
「タグを外したお品物についての苦情はお受けできません」
・・・・・・などなど。

小さい文字でも注意書きを見ておかないと、と思う・・・・・・

トラブルを未然に防ぐ 事前点検

正当なクレーム以外にも、問題は起きる。
「クリーニングに出す前はなってなかった」という問題。

着用していれば、糸引きができたり、すりきれが生じたりする。
時々、それに気づかず出す人がいる。
そして洗いあがった物の汚れ落ちやボタンの数などを確認していると、ふと気づいたりする。

クリーニング店に駆け込んで、「洗ったらなった!」と訴える。

クリーニング店で働くわたしたちにしてみれば、「クリーニングでなるわけない症状」。
でも、こういうふうにはなりえない、と言われても関係ない。
お客さんの論拠は、「洗う前はなかった!」。
洗う前は、気づかなかった、じゃないのかと思っても、なかなか言えない。
――言っても聞かないし。

だから、事前点検は念入りにする。
ほんの小さなキズでも、「すりきれあり」「糸引きあり」のタグをつける。
そうしておけば、「最初からありましたよ」と言えるからだ。

気づかずに送ると、工場で戻してくることもある。
「これ、キズがあるので、お客さんに確認してから送ってください」

でもそれはまた新たな問題への序章にもなりかねない。
「今日出来てると思って来たのに、洗ってもいないってどういうこと!?」
難しいものである・・・・・・

トラブルを未然に防ぐ 夏物衣料

夏物衣料は汗のトラブルが起きやすい。

特に女性もの。
丈夫さや汚れ落ちや水に強いかどうかより、デザインに合うかどうかで素材を選ぶから。

汗というのは厄介もので、ドライクリーニングでは落ちない。
プレスなどで熱を加えると、茶色く変色してしまったりする。
そこにバッグだのベルトだのが当たっていたら、青だの赤だのになることもある。

後で面倒が起きないように、夏物は注意するようになった。
自分がマネージャーになってからはなおのこと。

白っぽいノースリーブの品物だったら、汗をかいているならウェットクリーニングはどうか、と薦める。
ノースリーブは下着をつけないか、つけても袖のない下着だから、脇の汗をもろに吸ってしまう。

白や色の薄いワンピースなどは、お腹や肩をよく見る。
うっすらと色がついていたりしたら、注意する。
ベルトやバッグの持ち手でついたかもしれない。
洗うとひどくなるかもしれないが、いいか、と了承を得る。

自己防衛本能で、自主的に仕事をするようになる・・・・・・

トラブルを未然に防ぐ 伝票なし

伝票がない、と言って引き取りに来る人がいる。
なくした、とか、忘れた、とか。

何を出されましたか?――スーツなのに、たたみの棚探してもしょうがないしね。
いつ頃出されましたか?――品物は番号順、つまり日付順に並んでいるからね。

これが後々トラブルの原因になることがある。

伝票が出てきた場合。
「あ、これ、まだ引き取ってなかったんだ」とやって来るが、品物は無い。
見つからなかったら、紛失となってしまう。

渡すときに「もし伝票が見つかったら、破棄してください」と言う。
でもやっぱり、そういうことはよくある。

こんなことにならないように、伝票なしで渡す場合、ノートに記入する。
品物についている複写伝票を外し、ノートに貼る。
お客さんに住所・名前・電話番号のサインをしてもらう。

物が見つからないときは、伝票なしノートを見る。
「○月×日に伝票なしでお引取りになってますね」
そして、「こちらの伝票は、処理させていただきます」と預ること・・・・・・

クレームの心得:女は軽んじられる

女性の店員だと軽く見られる。
若い女性の店員だと、さらに軽く見られる。
若くなければ、女性でもまだまし。

後に、店舗マネージャーとなって別の店に異動したとき、切実に感じた。

何かが起こって「店の責任者を出してちょうだい」と言われる。
「わたくしが責任者です」と出ていって、説明しなければならない。

思った結果にならないと、わたしが説明してもずっと平行線のまま。
どうにも納得してくれなくて、会社に相談すると、課長がやってきたりする。

ところがびっくり。
男性で中年以上に見える課長が出てくると、みんななんて素直になることか。

この課長がまた工場一筋、接客現場のことは分からない。
だからとくとくと言われたりする。
「全然ごねたりしなかったよ。説明したらすぐ分かってくれて、わざわざありがとうございます、って言ってくれたよ」

つまり、お前の対応が悪いんじゃない?って意味だ。

違う!
男性が「課長です」って出て行くと、素直になるもんなの。
――これは特に主婦層に多かった。少なくともその土地では。

でも、この腹立たしい事態、やがて理解される日が来た。
社長のお嬢さんが会社にいろいろ参加し始めたからだ。
もちろん立派な役職がついていたけれど、若い女性だったため、なかなか決着がつかないこともあった。
ところが課長が出て行くと、ほんの少しの説明で納得してくれる。

お嬢さんはクレームの勉強もしている有能な才媛(当然である!)なのに。

「男の人が出て行くと納得したりするものなんですよ」と社長自ら言うようになった・・・・・・

クレームの心得:説明はゆっくりと

弁償が決まった場合は、いい。
メーカーの責任ということになったものも、いい。

何もできないときは、説明も難しい。

「これはこういう性質の素材で、これこれこうで、だからこうなったんです」
「汗をかかれたために、これこれこうなって、だからこのようになってしまいました」
最後の結論としては、そういうわけなんで、弁償はできませんよ、ってこと。

そういう説明をするときは、早口で言わないほうがいい。
自分にとってはよく見ている事例で、自信をもって説明できることでも、とうとうとまくしたてないこと。
そういうことをすると、こちらが一方的に説明するような形になってしまう。
「そんなことも知らないの?」と責められているように感じて、お客さんが傷ついてしまう。
まとまる話もまとまらなくなる。

自分にとっては当り前のことでも、お客さんにとってはそうではない。

1ステップずつ話して、説明を飲み込んでいただく。
お客さんが口を開きかけたときは、すぐ聞く態勢になること。

でもこういうことも、まるでクレーマーのようになっているモンスターには通用しないんだけど・・・・・・

クレームの心得:相手に共感・同情する

共感、同情を示されると、相手の心は多少満足する。
これは、ちょっと時と相手を選ぶので、経験がある人のテクニック。

お客さんの思いというのは、「気持ちは分かるよ」ということが多いので、共感するのは難しくない。

「まさかこんなことになるとは思わないじゃない?」――そうですよねえ。
「これじゃもう着られないものね」――本当ですよねえ。
「同じのを買いたくても売ってないし」――分かります、まったくだ。

全部、そうだよな~と思うことなので、共感も同情も最初からしている。
店員なんて、半分はお客さんと同じ「消費者」の立場なのだ。
経営者じゃないんだから。

特に、満足のいかない結果になった人に効果的。
全額弁償に至らなかった、洗ってもシミが落ちなかった――でも、共感してもらうと、気が晴れるものだ。

ただ、これは一歩間違えると、神経を逆なでしてしまう。
わざとらしいのはだめ、やりすぎてもだめ、嘘はだめ。
本当に同情しているとき、控えめに表現する。

心から思っているなら、自然に控えめになる。
だって、「こうしてあげたかったな」という結果になっていないわけだから。
ごめんなさい、お役に立てなくて、って気がひけるもの・・・・・・

クレームの心得:謝らない

最初に持ち込まれたときは、決して謝らないこと。
謝ると、こちらが非を認めた、と思われる。

実際、「店員さんが謝ってたわよ、オタクが悪いんでしょ」と言われることもある。
この場合、謝ったのがどー見ても若い学生バイトさんでも、お客さんは「してやったり」。
いつもは学生バイトを信用していない人でも、このときはそんなこと言わない。
「店員さんが謝ってたわよ」

だから、これは、うるさく言われる。
謝らないこと。

もし、相手がとても感情的になっていて、こちらがある程度経験を積んでいる場合は、部分的に謝ることもある。
申し訳ありません、て言葉があると、なんだか心が晴れるってこともあるし。
または、謝られないと気持ちがおさまらないって人もいるし。

謝るときは、クレームと関係ないことで謝る。
「わざわざお持ちいただいて、お手数をおかけして申し訳ありません」
「お時間をいただくことになります。申し訳ありません」
など。

でも絶対に、品物のことでは謝らないこと・・・・・・

クレームの心得:まず聞く

クレームを受け付けた場合は、まず話を聞くこと。

第一印象は重要で、最初の対応の気持ちを引きずりがち。
第一印象が悪いと、後から挽回するのは大変。

一番大切なのは、話を全部聞く、ということ。
お客さんは素人だから、いらないことまで説明するかもしれない。
または、何でも分かっているプロであるかのように、自分の考えを述べるかも。
「いや、そんなことはないと思います」なんて言いたくなっても、我慢。
長い話だな~、もう必要なことは聞いたな~、と思っても、我慢。

とにかく全部聞いてもらうと、気持ちが落ち着くものだから。

これは、下っ端店員であっても直面する事態なので、教わる。
わたしが経験から思ったのは、あいづちも最小限に、ということ。
若ければ「はい」「はい」くらいで聞いているのがいい。

困るのは、途中で別のお客さんが来てしまうこと。
そのとき店に一人しかいない場合、話が済むまで次の人を待たせたら長くなる。
クリーニング物を持っているので、「じゃ後でまた」と帰って行くことは、あまりない。

そこを臨機応変にさばくには、少し経験と柔軟さが必要になる・・・・・・

クリーニング代金の弁償

さて、何らかのトラブルがあって、品物が着られない状態になりました。
メーカーが対応したにしろ、クリーニング店が弁償したにしろ、事情説明で終わったにしろ、クリーニング代はどうなるの?って話。

お客さんの考え:
もう着られないのだから、今回のクリーニングは無意味だった。
返金してくれるはず。

これは、人によって程度に差がある。
たとえば、メーカー対応になった場合は、クリーニング代金は返金されるはず、とは思わない人が多い。
でも、中には思う人もいる。
クリーニング店の責任でなった場合は、かなりの人が、返金されるはずと思う。

クリーニング店の考え:
クリーニングはした。
溶剤代や人件費や、洗うためのコストはかかった。
クリーニングはしたのだから、着られなくなろうがなんだろうが、したことに対する対価はいただくべき。

商品を買った金額から考えれば、微々たる料金ではあるけれど、ここですれ違いが生じることもある。
そして、これ、説明がとても難しい。

服を失ったお客さんは、「でもクリーニングの意味はなかったわけだから」とずっと思っている。
会社は、「でもクリーニングは実際したのだから、返せないって説明して」とずっと言っている。
間に挟まるのは、いつも現場・・・・・・

商品の弁償 それぞれの立場

お客さまと店側には、意識の相違があるものだ。

たとえば、礼服のような、持っている必要があるものだったとする。
「そりゃ確かに5年前に買ったのだから、古い商品だ。
でも私は古くてもまだ着るつもりだった。
おたくのせいで着られなくなって、新しく買わなければならないけど、この金額では買えない」
と思われる――言われることも多い。

「何年経っていて、こういう状態だから、いくら、っていう説明はどうでもいい。
とにかく、また礼服を着られる状態にしてくれればいい。
この礼服を直すのでも、新しいのを買ってくれるのでも、方法は何でもいいから、私が礼服を着られる状態にしてちょうだい」

堂々めぐりの実に嫌な対応。
でも自費で出すこともできないし、堂々めぐりの説明を続けるしかない。

これはいつも店員側に不利だ。
自分だって他の店に行けば消費者なのだから、気持ちは分かる。
でも、お客さんにこちらの気持ちを分かってもらうのは――難しい・・・・・・

商品の弁償 お客さまの責任

お客の側に責任なんてあるの?――あることになってる。

汗のついた品物をドライクリーニングすると、汗がシミになることがある。
厄介なことに、出す前は色などついてなくて、クリーニングで浮き出たりする。
クリーニングっていうより、プレスの熱で浮き出るのだ、という説を聞いた気もする。

汗がついていなければ、トラブルは起きなかった。
汗をかいたのはお客さんである。
責任はお客さんにある。
・・・・・・という論法。

いつも同じ側に肩かけバッグをかけている。
なので、そちらの肩部分の生地は弱くなっていた。
洗ったら破けてしまった。
クリーニング前は破けていなかったのに。

でも、生地が弱くなっていなければ、破れなかった。
弱くなったのは、お客さんが肩かけバッグを使用していたからである。
責任はお客さんにある。

こういうことがあるのが、クリーニングの厄介なところ。
新品ではないので、いろいろなトラブルの種が潜んでいる・・・・・・

商品の弁償 メーカーの責任

では、メーカーに責任があるとは、どういうものか。

・絵表示通り洗ったら、トラブルが起きた
 ――絵表示が間違っていたのだから、絵表示をつけた製造者の責任。

色どめが甘くて、洗ったら色が落ちた。
ボタンが溶剤に耐えられない材質で、洗ったら溶けた。
水で洗え、と書いてあるから水で洗ったら、縮んだ。
ドライで洗え、と書いてあるからドライで洗ったら、伸びた・ゴワゴワになった・表面がはがれた。

そういうことはよくある。

表示通り洗って、素材に何か問題が起きたら、それはメーカー責任。
問題なのは、お客さんにはピンとこないってこと。

洗ってなったものは、洗ったところに問題がある、と感じてしまう。
だから納得してくれなかったり。

理屈は分かるけど、メーカーの責任と言われても、どうしていいか分からない。
泣き寝入りなの? それが嫌なら自分でメーカーと交渉しろっていうの?
だから「どうでもいいから、あんたたちが何とかしてくれ」と言いやすいわたしたちに言う。

ある程度、わたしたちは代わりに交渉していたけれど、今はどうなのだろう?
人件費も削減されているだろうし。

もし、個人で勝手にメーカーとやりとりしてくれ、と言われたら――?
会社ではなく、買った店に言うことをおすすめする。
誰かを味方につけるとしたら――?
消費生活センターや国民生活センターなどの相談窓口に行ってみる。

ただし、窓口にあまり過大な期待は抱かないこと・・・・・・

商品の弁償 クリーニング店の責任

どういうトラブルがクリーニング店の責任なのか。

・預っていた品物を紛失した

・預っていた品物を、ミスによって破損した
 ――具体例としては、ズボンの裾がはみでているのに、ドライ用のドラムの扉を閉めてしまったから、ちぎれてしまった、とか。
 ――プレス中にアイロンを置きっぱなしにしたら、こげあとがついてしまった、とか。(実際は、こげるようなアイロンは使っていなかったが)。

・絵表示通りに洗わなかったので、トラブルが起きた

なので、「これは水洗い×になっているけど、水で洗ったほうがキレイになりそうだな」なんてことを、会社の経営陣はとても嫌っていた。
絵表示通り洗って汚れが落ちないのは、弁償にはならない。
よかれと思って余計なことをすると、裏目に出て弁償になるかもしれない。

まあ、こういったことが、クリーニング店側の責任だ。
結構、少ないのである・・・・・・

商品の弁償 補足

話を分かりやすくするために、経過年数によって弁償の割合が決められていることしか記していなかった。
でも、本当は他にも基準があって、なかなか複雑になっている。
わたしは車についてはよく知らない。
なので知らない者の強みで勝手に、車の下取りにちょっと似ているな、と思うときがある。

たとえば、買って1年経った商品でも、状態がいいかどうかで金額が変わる。
状態は幾つかのランクに分けられている。
1年&Aランク=**%、1年&Bランク=**%、1年&Cランク=**% ・・・

さらに、責任の所在も関係する。

・クリーニング店に責任がある ⇒ 店が弁償
・メーカーに責任がある ⇒ メーカー対応
・お客さまに責任がある ⇒ 弁償責任なし

店に責任がある、という場合だけ、年数や状態によるパーセンテージが関係してくる。

メーカーに責任がある、というのは、素材や染色に問題がある、などの場合。

お客さまの責任とは、お客さまの行動によって今回のトラブルに至った場合・・・・・・

商品の弁償 パーセンテージ

買ってから何年経った商品かで、弁償額は変わる。

そうなると、3年前に買った商品でも「買ったばかりよ」と言いたくなる。
少なくとも、わたしはなる。
でも、小心者だからつい本当のことを言ってしまうだろう。

お客さんはそんな嘘はつかないだろうけど、記憶違いをしていることだってある。
だから調べる。

レシートがある場合は、簡単だ。
でもずっと前に買ったものだったら、レシートはなくなっていることも多い。

そのとき役に立つのは、製造番号。
お客さんが買った店や、その商品を作っているメーカーに問い合わせて、価格を教えてもらう。
これは、店員ではなく上の人がしてくれる。

もし記憶違いなら、「お調べしたところ、いついつ頃の商品のようです」となる。

大切に着ていれば、2年や3年経っていても、まだ充分着られることもある。
メーカーがしっかりした作りをしていれば、なおのこと、まだまだ大丈夫。

でも運悪く破損してしまったとなると――
たとえまだ何年も着られる品物でも、もう着られないわ、弁償額も少ないわ・・・・・・
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