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客層の違い:ポスティング

土地が違い、客層が違う――するとポスティングもだいぶ違った。

だいたいポストが綺麗である。
前の土地では、人が住んでいるんだか空き部屋なんだか、チラシが溢れているポストがたくさんあった。
しかしこの土地のマンションは大型が多く、たいてい管理人さんがいる。
だから空き部屋でもポストはスッキリしているのである。

大きいマンションはたくさんあった。
何棟も並ぶ団地もあった。
一戸建ても多く、それは面倒だったが、マンションを回ると効率よく配布できた。

割引券は、実によく見てくれて、実によく回収できた。
地元クリーニング店が根強い場所でなければ、たいてい使ってくれたのである。

ひとくちに「この土地」と言っても、やはりいくつかの地域に分かれている。
ポスティングで回るほど近い範囲は3つに分けることができた。

右隣の駅方向に行くと、一戸建てが多い。
それらの家の奥さまはたいてい専業主婦で、品がよく、広い一戸建てを切り盛りしている。
左隣の駅方向に行くと、より庶民的な一戸建て。
この方向には他に、小さいアパート。戸数の少ないマンションも多い。

まんなかのこの駅周辺は――大きいマンション。
子供ができたら、または結婚したら引っ越す土地。
それらと一戸建てが混じっている土地・・・・・・
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客層の違い:セール

セール、それはたいてい期間限定で行われた。

近くのクリーニング店では「雨の日は5%OFF」というのもあったし、「午前中は10%OFF」というのも見た。
わたしが辞めてからこの店でも「火曜日はメンズスーツ30%OFF」「水曜日はドライクリーニング20%OFF」というのをやっている。
――これは集客以外の目的もある。
  「ならす」ことができる。

晴れた土日にばかり集中してしまうと、MAX時の受付も工場も大変なことになる。
大変なことになってもさばけるよう、人員が多く必要になる。
なるべく点数をならすことで、人件費を削減できる。

でもこの新しい店での最初の5年ほどは、期間限定のセールが主だった。
『○月×日~××日まで20%OFF』といったもの。
これは前の店でももちろんそうで、全社このタイプのセールをしていたのだが、お客さんの反応は土地によって違うのかも、とこの店に来て思わされた。

なにしろ、最終日の土日はすさまじいことになる。
セールはたいてい土日に終わるようになっているので、最後の土日はどの店も忙しい。
しかしこの店の集中ぶりは半端じゃなかった。

前の店では、「またやるよね」とか「気がついたら終わってた」という人も多かったのだな、とこの店に来て思った。
この土地の人々は、たいてい忘れないで、持ってきてくれる。
主婦が多い土地柄なので、平日から持ってきてくれる。
だから平日もたくさん売上がある。
じゃあ、土日に集中しないかというと、土日はさらに売上がある。

春のセール時はかなり気合を入れないとさばききれなかった。
最終日の土日は3人がフル稼働でもかなり根性と気合が必要だった・・・・・・

客層の違い:比率

前の土地は一人暮らしも多いし、その土地に住んでいなくて会社があるから出している、という人もいた。
夫婦二人で共働き、という家庭も多かった――土地が高いので家賃も高く、子供のいる家庭の比率は少なかった。
またマンションの間取り相場は、広くて2LDK。
3LDKや4LDKの広告は滅多に見なかった。

今の土地は、東京都だけれど山手線内ではない。
マンションも2LDK~4LDKが多く、むしろワンルームのほうが少なめ。
この土地に会社があるから、という人よりは、ここに住んでいるという人のほうが圧倒的に多かった。

なので、客層のほとんどは主婦。
専業主婦が多くて、パートやバイトをしている主婦も少しいて、正社員や派遣としてびっちり働いている奥さんも少しいる。

男性も来る。
でもそれは、奥さんのメンバーズカードを持ってやってくる旦那さん。
単身赴任風の人はほとんど見なかったし、独身男性風の人もあまり見なかった。

独身女性風の人はときどきいた。
すごく若々しい格好の奥さんかもしれない人もいたし、きっと独身と思える人もいた。
女性は自分でクリーニングを出しに来ることがあるが、男性はお母さんと同居していればお母さんが来ることが多いってことだろう。

家庭、住宅街、って感じの客層だった・・・・・・

客層の違い:セール

セール、それはたいてい期間限定で行われた。

近くのクリーニング店では「雨の日は5%OFF」というのもあったし、「午前中は10%OFF」というのも見た。
わたしが辞めてからこの店でも「火曜日はメンズスーツ30%OFF」「水曜日はドライクリーニング20%OFF」というのをやっている。
――これは集客以外の目的もある。
  「ならす」ことができる。

晴れた土日にばかり集中してしまうと、MAX時の受付も工場も大変なことになる。
大変なことになってもさばけるよう、人員が多く必要になる。
なるべく点数をならすことで、人件費を削減できる。

でもこの新しい店での最初の5年ほどは、期間限定のセールが主だった。
『○月×日~××日まで20%OFF』といったもの。
これは前の店でももちろんそうで、全社このタイプのセールをしていたのだが、お客さんの反応は土地によって違うのかも、とこの店に来て思わされた。

なにしろ、最終日の土日はすさまじいことになる。
セールはたいてい土日に終わるようになっているので、最後の土日はどの店も忙しい。
しかしこの店の集中ぶりは半端じゃなかった。

前の店では、「またやるよね」とか「気がついたら終わってた」という人も多かったのだな、とこの店に来て思った。
この土地の人々は、たいてい忘れないで、持ってきてくれる。
主婦が多い土地柄なので、平日から持ってきてくれる。
だから平日もたくさん売上がある。
じゃあ、土日に集中しないかというと、土日はさらに売上がある。

春のセール時はかなり気合を入れないとさばききれなかった。
最終日の土日は3人がフル稼働でもかなり根性と気合が必要だった・・・・・・

客層の違い:次のシーズンに

新しい店のお客さまは、前のシーズンに出したものについて問い合わせてくることが多かった。
「家にないのだけど、もしかしたらお宅にないかしら」

そういう漠然としたことを言われても、とても困る。
「もしかしたら」と言いながら、お客さまはクリーニング店にあるのではないかとかなり疑っている。
システム的にそういうことはそれほどないのですよ、と説明しても関係ない。
「でも家に見当たらないから」→どこかにあるはず→クリーニング店しか考えられない。

クリーニング会社は行方不明が出ないように何重にもチェックするシステムになっている。
それでも本当に「これ、何?」という品物が出てしまうことも――ないわけではない。

セール時、一気に行列ができて必死でさばいて、ようやくタグを付け終わってみると・・・・・・1つ余る。
このコートはどのお客さまの??

検品も次々必死でやっていて、だんだん頭もぼんやりしてきて、翌日工場から「タグのないセーターが1つあるんだけど」と言われたりする。
――幸い、点数の多い店の品物は店単位でドラムに入れてくれるので、どの店の品物か特定しやすい。
点数が少ない季節だと、「○○店か××店か△△店のだと思う。この3つの店を一緒に洗っているときに出てきたから」ということがある。
もともと点数が少ない店の場合は、忙しい時季でもほかの店と合同になる。

こういう品物を「もしかしてこれでは?」とお見せすると、次回の「家にないのだけど、もしかして――」につながってしまうのだが、大切な衣類を発見して喜んで帰る様子を見るとわたしたちも胸をなでおろす。

でも、こういうミスの数と比べて、問い合わせのほうが多すぎた・・・・・・

客層の違い:速さより正確さ

やはり、前の店と新しい店と、土地が違うのでお客さまの傾向も違った。

前の店では、お客さんは待たされるのを嫌い、速く受付を済ませることが必要だった。
新しい店では、前のお客さんの品物に「これだけやってしまおう」と思って「少々お待ちください、申し訳ありません」と言ったりすると、実に寛容だった。
「いいのよ。気にしないで。間違えたら大変ですもの」

本当にそう思っているようで、こちらが待たせるのを気にしてタグ付けを途中にして相手をするよりも、待たされても全部付けて欲しいようだった。
自分の品物もそうして欲しいのだと察せられた。
ほかの人の品物と混ざったり、紛失したり、ということがあると嫌だ、という気持ちのほうが早く済ませたい気持ちより強かった。

だから引き取りにも時間がかかった。

とりあえずさっさと帰りたい前の店の多くのお客さんと違う。
新しい店では、点数がちゃんと揃っているかどうか、シミが落ちているかどうか、などをチェックされることが多かった。

引き取りだけでなく、品物を出すときも時間がかかることもあった。
すべて出さずに、1点1点袋から取り出したい人が多かった。
「これはセーターよ。これはアンサンブル。これはここにシミがついているの。ご飯を食べに行ってつけたんだけど、たぶん、生クリームとマヨネーズと、もしかしたらしょうゆも混ざっているかもしれないわ」

土地柄ってあるのだな、と思った・・・・・・

土地固有ルール

前の店の周辺では全然そんなことはなかったのだが、土地によっては「デラックス仕上げ(名称は会社による)にすると弁償のとき全額保障してもらえる」ルールがあるらしい。
デラックス(ロイヤル、おしゃれ着加工、等)はほぼ倍額。
これは万が一のときのための保険だったの!?

店舗がどこにあっても、わたしが働いていた会社ではそれはしていなかった。

ルール的なことでなくても、土地によって横並びなことはあった。
この辺りでは――

・ワイシャツは指定がなければつるし、たたみワイシャツは50円増し。
 ――わたしたちの店では通常がたたみなので、最初のうち驚かれた。
・毛布や布団は自社工場で洗ってしまうので、安い。
 ――わたしが働いていた会社では外注のため、高かった。
   でも仕上がりはよかったと思うんだけど・・・・・・。
・シミヌキ無料
 ――わたしが働いていた会社はシミヌキ代があった。手間がかかるということで。

お客さまにとっては「クリーニング屋さんはどこでもやってくれるんでしょ?」ということが、通じない。

土地によって、というか、会社によって違いが大きいのは弁償問題かもしれない。
小さなクリーニング屋さんだと「ごめんねぇ~」で済ませることもあるらしい。
逆に恐ろしく丁寧に、ネットで掲示板まで作っている会社もある。

わたしが働いていた会社は法律寄りで、多額に払ってはくれないけれど、まぁ良心的だったと思う。
でも「お客さまは神さまです」理論信奉者には納得のいかない解決だったかも。
両方に言い分や立場や事情があるから難しい・・・・・・

相場

近隣のクリーニング店を見て回ったとき、だいたいの値段もチェックした。
それによると、わたしが働く店は少し高いことが分かった。

もともとがこの会社は都心に近いところにある。
たとえば、わたしがもといた店の近くの駐車場が1台分4万円や5万円だったとして、新店舗のあるの土地は1万5千円くらい。

しかし不思議なことに、八百屋の野菜などの相場はだいたい同じだった。
「あんた、あっちに行ったら野菜とか安くていいわよ」
とベテランマネージャー××さんは言っていたが、来てみるとそうでもなかった。

会社もいろいろと調べたと思うし、どこまで値段を下げられるかさんざん計算したと思う。
痛いのは、スーパーの取り分があることで、この家賃分がどうしても高くついてしまう。
そして削った金額は、だいたい50円~150円高い、というもの。
これは悪くないと思う。

そして多少高くてもお客さまはわたしたちの店に出してくれた。
「スーパーだから、何かあったときちゃんと対応してくれるでしょ」
――うーん、そういう期待はちょっと――困るなあ。
『ちゃんと対応』の中身が、わたしたちが思うものとお客さまが思うものと、ギャップがあるだろうから。

ほかにも土地による独特の法則があり、それになじまない外様のわたしたちはやりにくい面もあった・・・・・・

近隣のクリーニング店

近隣にはどんなクリーニング店があるのか。
これは気になるところだ。

暇な店になると言われて「それならそれもいいか。暇を満喫しよう」と思ったが、売上がいいならそれはそれで楽しい。
店も落ち着いた頃、近隣のクリーニング店はどんな感じなのか、見て回った。

駅に近いところにはあまりなく、少し歩いた住宅街にあるようだった。
団地の中の小さな商店街らしきところにある、古そうなクリーニング店。
大きな通り沿いにある小さなクリーニング店。

それからこの通りにはMというクリーニング会社の工場があり、それはこの辺りに多い店らしかった。
工場には店舗併設で、受付窓口は綺麗だった。
工場の外には絨毯などが置いてあり、洗うんだなあ、と分かった。

店舗の自動ドアにスタッフ募集の張り紙があった。
 クリーニングスタッフ ××円
 受付スタッフ     ××円

これがこの近辺の相場なのだろうか。
わたしはもう少し都心の店から移ってきて、時給も都心価格だったので、本当に良かったと思った。
辞めてもこの近所では働けないな、と思った。

少し離れた地域は、Nというクリーニング会社の店舗が多かった。

本社工場のあるところから徐々に勢力が拡大していくので、色分けしてみるときれいに分かれる。
どこも同じだなあ、と思った・・・・・・

DPEさん

わたしは前々から写真は好きだったが、カメラを持っているわけでもなく、周期的に撮りたくなって使い捨てカメラを買うくらいだった。

でもこのスーパーにDPEコーナーがあり、同じテナントという立場だったために写真にはまった。
このことがなくてもいずれはカメラを買ったろうと思うけれど、フィルムカメラの時代にあれほど撮ったのは、DPEコーナーの女性と仲良くなったからだ。

彼女は華やかな人で、堂々としていて、若い子や後輩からの信頼も篤くて、わたしとの共通点は写真と酒くらい。

写真は撮ると見せ合って、楽しかった。
一緒に写真を撮りに行ったことも一度だけある。
お子さんが小さかったので、あまり頻繁に飲みに行くこともなかったけれど、テナント同士で忘年会をするのは彼女がいたからだと思う。(リフォームさんはこういう会に来たことはなかった。)

仕事で考えると――きっとわたしのひがみだと思うけれど、男性社員がいるDPEと女性しかいないわたしたちでは、やはりなんとなく違うように思えた。
DPEにはその場で判断を下せる「店長」がいた。
わたしでは何もできない。
DPEの店長とクリーニング会社の課長とが、同じくらいの位置と思われていたような気がする。
わたしは筆頭バイトとでもいうか――ま、店員の品行についての注意ならわたしにしてもいいか、程度。

DEPコーナーはデジカメ時代がやってきて、コーナーをたたんだ。
会社自体も今はどうなっているのか分からない・・・・・・

となりのリフォームさん

お隣にはリフォームコーナーがあった。
クリーニングとリフォームが並んでいるのは分かりやすい。
どっちも衣類関係だものね。

リフォームさんはだいたい3人いて、最初にいた方々は近所に住んでいた。
ほぼ徒歩圏内。
その後、辞める人もでて新しく入ってくる人もいた。
中には少し離れたところから通っている人もいた。
自転車で15分とか、電車で3駅とか。

最初のリフォームコーナーメンバーは、近所の人ばかりだったのでいろいろな情報をいただくことができた。

どこにどんな店があるか。
この近所の人はどの商店街をどんなふうに利用しているか。
どのスーパーはどういう評判か。
etc.etc.. この土地で主婦をしようとしているわたしにとっては、有益な情報だった。

仕事に役立つ情報ももらった。
やはり、土地の主婦の意見は重要だ。

最初は皆平等の給料制だったリフォームさんたちだが、後に店長制になった。
店長が店の売上を全部受け取り、その中から材料費や人件費を払う――要するにフランチャイズ。

このスーパーに買い物に行くと、まだリフォームコーナーはあるが、今はどうなっているのだろう・・・・・・

電話機についての解決

電話機については、スーパーも面倒だったと思う。
思ったより何度も取り次がなければならない。

その上わたしは意地が悪いので、内線しかないなら最大限の面倒をかけてやろうと決心して、実行していた。

内線がかかってくるとわたしたちは接客を中断して出る。
お客さまからの電話だったらそのままお話を承るけれど、工場や本社からだったら「接客中なので、後でこちらからかけなおします」と一旦切る。
でもわたしは「接客中なので、5分後(あるいは10分後、その接客の内容により)にかけ直してもらえますか」と言って、スーパーの事務の方の負担を1回でも多くしようと決めていた。

かけ直すって、駅前の電話ボックスまで行くのだから、冗談じゃない。

アピール運動も開始していた。
工場も電話で待たされたり、かけ直させられたりするので面倒だと思う。
その不満があることを見越して、工場の課長に「いつもご迷惑をおかけしてしまって恐縮ですぅ、直通電話さえあればお忙しい工場の方の面倒も減ると思うんですけどぉ、無いので申し訳ないと思いながらもぉ」といったようなことを、――これほどわざとらしくなく、言ったりしていた。

直通電話で工場と密に連絡を取れないため、お客さまのご要望にお応えできないこともある、という理屈を社長や△△課長に陰に陽に伝えていた。

その甲斐あって、ついにFAX付き直通電話が設置されたのだった。
なんだ、回線の問題って、別に問題なくついたじゃん・・・・・・

弱小会社:電話機について

わたしたちは工場と密に連絡を取り合わなければならない。
だから店舗には絶対に電話が必要だ。

なのに信じられないことに与えてもらえなかった。
これは開店一連を担当した△△課長がもうちょっと頑張るべきだったと思う。
電話線を引けないとかなんとか言われて、内線電話になったのだ。

こちらが工場に問い合わせたいときは、なんと駅前の電話ボックスからかける。
そのためにテレフォンカードを何枚か店用に支給された。
一日に何度か駅前まで電話しに行く。
そのときは手許に「物品確認表」もない。伝票もない。
タグ番号や品名をあらかじめメモ用紙に書いて行かなければならないのだ。

まったく呆れてしまう。

工場が問い合わせの返事をしたり、連絡事項を伝えたりしたいときは、スーパーにかける。
「クリーニングコーナーをお願いします」と言うと、電話を受けた事務所の人がつないでくれる。
店の内線電話が鳴って、わたしたちが出る。

さっき電話ボックスから問い合わせたことの答えかもしれないし、「色は何って言ったっけ?」ということかもしれない。
「色は、伝票では白で受けているらしいです」
「白ね、何時頃受けたもの? 夜だったら袋の上のほうにあった可能性が高いよね」
「伝票見てみます」
「折り返し電話して」
――あ~~、待って待って、折り返しはまた駅前まで行かなくちゃならない。
「今すぐ見るので、このまま待ってもらえますか?」

工場も忙しいので、こうして待たされるのはすごーく不評だった・・・・・・

弱小会社:クレームについて

社名もなし、制服も着ている、まるでスーパーの一員のクリーニングコーナー。
当然、クレームもわたしたちではなく、スーパーに持ち込まれることがあった。

これは困ったことだった。
「クレームは謝らない。どちらの責任かはっきりするまでは」
この原則をスーパーは守ってくれないからだ。
それどころか、「申し訳ございません! すぐに全額弁償いたします!」くらいのことを言ってしまう。

その後で、いや責任はお客さまにあるから、と言われても、そりゃ納得しない。
年数を経ているので全額というわけにはいきません、と言われても、納得しない。

スーパーはわたしたち店員など相手にしないから、こういうときは課長だの社長だのが出てくる。
でもそういう人たちが何を言っても、スーパーは気にしない。
「とにかくお客さまは怒っていらっしゃるから。お詫びの品を持ってご自宅まで弁償しに行って」
弁償の上、高級メロンの1つも持って行け、ということだ。

――あんたたちはいいよ、高級メロンだって仕入れ値なんだから。

別に悪いことをするわけじゃない。
正当な弁償をしようとしているだけだ。
でもスーパーは「とにかくお客さんの心象が第一」というのだ。
自分が客だったら有難いけどさ。

弱小会社はいち早く、「トラブルがあったら何でも弁償してカタをつける」というやり方をやめていた。
だって、会社がたちゆかないから。
しかしスーパーは開店して2年くらいは、クレームのたびに弁償しろと言っていた。
やがて大きな会社にも「何でも弁償、何でもお詫び」システムの崩壊が来たけれど・・・・・・

弱小会社:名称について

これまでABCスーパー(仮名)の中に入った店舗は、「(株)○○クリーニング」と名乗ってきた。
ところが、新しい店舗は、「ABCスーパー**店 クリーニングコーナー」と名乗れと言われた。

T**店は、スーパーにとっては力を注いだ大型店舗、高級感を出したい。
クリーニング会社の名前は表に出さないように、というお達しだった。
そういう観点から制服の話も妥協がなかったのかもしれない。

そりゃまあ、このクリーニング会社の拠点はこの土地ではない。
だからここで名前を出したからといってそれほどの得はないかもしれないが、でもやはり無名にするのはちょっと悲しい。
一応話し合いはもたれたものの、結局、「クリーニングコーナー」ということになった。

看板もなし。ポスティングする割引券にも社名はなし。広告にもなし。
すべて「クリーニングコーナー」で統一する。

――そして制服を着ている。
なので困ったのは、サービスカウンター代わりに使われることだった。

「クルトンはどこに置いてあるの?」
「サランラップはこの階かしら? それとも1階?」

制服を着ていて、このスーパーの店員であるなら、レジ係でも品出し係でも答えられるはず。
クリーニングコーナーにいる人だって――答えられるはず。

救いは隣にサービスカウンターがあったことで、丁重にそちらにご案内して逃げることにした。
しかしカドがたたないように、ただ「隣で聞いてください」とただ言うのではなく、いちいちコーナーから出てご案内していた・・・・・・

弱小会社:制服について

わたしたちはABCスーパー(仮名)の制服を着てカウンターに立った。
前にも書いたが、わたしたちは負けてしまったのだ。

当然、マクドナルドさんは自分のところの制服を着る。
でもほかの会社は制服を着ろということだった。

しかも、この制服、買取なのだ。
わたしたちが買い取るわけじゃない。クリーニング会社が買い取る。
会社にとっては有難くない方式だ。
だって、1人雇うたびに制服を買うのは痛い出費だ。
使いまわしたいけれど、必ず同じサイズの人が来るとは限らない。
替えはどうする? 1人につき2着?

そんなこともあって、リフォームコーナーでは制服をやめたのだと思う。
もともとリフォームさんたち自身も「絶対着ない」と言っていたが、会社もそのほうがよかったのだ。

わたしが働いていた会社は結局、制服を買い取って着た。
サイズは3人それぞれだった。
一番最初に3号さんが辞めたが、その後入ってきた人たちはまちまちなサイズだった。
その都度、新しく制服を買った。
長く続く人もいたし、半年も続かず辞める人もいた。

さらに、夏服があるのだ!
夏になったらまた夏の服を人数分×2、買わされた。
そしてある日デザインが変わった!

ここに至って、会社は制服をやめた。
各自、白いシャツかブラウスに黒のパンツ(自前)、エプロンは会社共通のもの。
その頃にはずいぶん使わない制服がたまっていた・・・・・・

自分で言うのもなんだけど

自分で言うのもなんだけど、わたしでよかった。
忙しい店には忙しい店のやり方がある。
暇な店で何年も働いた人が、忙しい店に行くと仕事をさばききれない。

やがては慣れていくけれど、それを待っていたらオープン後1週間を乗り切れなかったろう。

前に働いた店は数あるチェーン店の中でも売上の多い店だった。2番目か3番目くらいに。
新しい店はそれに匹敵するくらいの店になった。

売上が同じということは、この店のほうが忙しい。
ちょっと都心を離れたところにできた店なので、価格設定が低いからだ。
同じ5万円の売上だとしたら、価格が低い店はその分点数が多いことになる。

点数が多いということは――
タグをつける回数も多く、検品する回数も多く、戻ってくる数も多く、戻ってきたものを整理する手間も多く、伝票を書く枚数も多く、――とすべての作業が増えるので、忙しさは大きくなる。

この結果には誰もが驚いた。
暇な店になると全員が単純に思っていたからだ。

実は会社はこの店を出したくなかったくらいだった。
暇な店を人件費を使ってオープンするのは嬉しくない。
しかし、ABCスーパー(仮名)との関係を壊すわけにはいかないので、しぶしぶ出店した、という話。

さて、じゃあ今はすごく喜んでいるかというと――わたしには分からなかった。
スーパー内の店は、スーパーの取り分がある。
それを抜くと、利益は果たしてコストを上回っているのだろうか?
価格も安いので、1点あたりの利率は都心の店より低いはずである・・・・・・

予想外の解決、その裏側

売上という金額ではなく、点数で見てみると、新しいT**店の品数はさらに多かった。
「洗う」ということになると、重要なのは売上金額より点数だ。

工場のように洗う専門で、人員もそれなりにいるところでも、店舗が増えるということは大変なことだ。
**工場の課長の心配ぶりを見ても分かる。
ちょっと今日は全部洗えませんでした、というわけにはいかない。
その新しい店舗のために工場人員を増やすのも難しい――どのくらいの規模の店になるかはっきりしてからでないと。

A課長のところのようにユニット店であれば、余分に1店舗分引き受けるというのはより大変だと思う。
まして――T**店は点数が多い。

A課長はいろいろ考えた末、引き受けるよ、と申し出てくださったのだなあ、と感じた。
店に来たときは、**工場の課長が一緒だったので言わなかったが、後に語っていた。

「せっかく売上がいいというのに、あんなに仕上がりがひどくちゃ可哀想だと思ってね」

う~ん、やっぱり分かってる人だ。
A課長は自ら受付に立つことはなくても、ユニット店なのでお客というものを知っている。
そして売上あってこそ、お客さまが代金を払ってくれてこその店であり、工場であることを知っている。

**工場にも寄って仕上がりを見て、それから店舗にも来て店の状態を見た後の結論だったようだ。
見るのは最後の決定で、売上や点数を見て社長などと相談はしていたのだろうけど。

仕上がりに関する問題は解決した。
前の店でベテランマネージャー××さんがお願いしてやっていただくレベルの仕上がりが、毎日のことになったのだから。

店では、わたしが2号3号さんに徹底した。
「A課長に受けていただくからには、絶対検品ミスのないように。点数書きもれ、点数オーバーなども気をつけて」
とにかくA課長の「気難しいところ」を刺激しないようにして・・・・・・

予想外の解決

新しい店の好調な出だしは、会社内では本当に驚きだったようでABC**店は一躍花形になった。
売上の良い店舗というのは当然そういうものだ――たぶん、どこの業界でも。

それってすごいんだなあ、と強く思ったのは、A課長が見に来たときだった。
今までのわたしのクリーニング店人生に、ほとんど登場しなかった人だ。

しかし前の店のベテランマネージャー××さんから、話だけは聞いたことがあった。

――A課長はすごいわよ。もうシミなんてビシーッと落としてくるしね。あの人にやってもらって落ちなければ、もうこの会社に落とせる人はいないわ。できる人だからシミを落としてあげたい一心でたま~にやりすぎちゃって、弁償になることもあるけどね。そこが社長たちにしてみれば困るとこだろうけど、お客のために落としてあげたいって気持ちが強いのよ。

確かに前の店でも、一度どうにもならないトラブル品を、わざわざA課長の店に送って綺麗にしてもらったことがある。
これは××さんの口利きでお願いしたことだった。

この人はいわゆるユニット店――前のカウンターで受けて、後ろの工場で洗う――にいる。
ちょっと離れた土地にある店舗で、この店の売上はトップ。
2位以下を100万200万と引き離すダントツのトップ店舗だ。
このユニット店で、その辺りにある小さな直営店や取次店のドライ品も洗っている。
ユニットは基本的にドライのみなので、ワイシャツや水洗い品は**工場に出している。

――でもA課長は技術が最高なだけに厳しい人よ。頑固っつーかね。気難しいとこもあるんだけど、何しろ腕は確かで、すごい人よ。

このA課長が**工場の課長と一緒に、店を見に来た。
普段は他の店に行くなんてない人なのに。

そしてひとしきり見学した後で、言った。
「この店の品物をウチで洗ってあげようと思ってね。**工場を見て来たんだけど、点数が多くて大変そうだから」

A課長に洗っていただける――!?
すごいことだ・・・・・・

人気店――その後

人気下落。
仕上がりが悪いから。

当然だ。
恐れていた結果になった。

だいたい本当は再洗だって、お客さまにとっては困るものだ。
「10日に仕上がります」と言われて、10日に取りに来た。
そうしてカウンターに持ってこられた品物を見たら、汚れが全然落ちていない。
「これじゃ全然落ちてない」と文句。
「再洗いしてみます」――「仕上がりは13日です」
また日付が伸びてしまうのだ!

スーパーの中の店で本当に良かった。

お客さまは買い物のついでに来ることが多い。
だからまた足を運ばされてもそれほど怒らない。
その場では気づかなくて、後から持ってくる人もいる。
そのときも、やはり買い物のついでがあるから、思ったほどその手間については怒らない。

でも仕上がりには不満だ。
だって、また落ちないのだから。
再洗に次ぐ再洗、でも全く変化なし。

ひどいのは再プレス。
シミヌキと違って、プレスなのだからやりすぎるってこともないわけだし、直ってくると思う。
なのに変化なし。――か、納得いかない程度の変化。
なぜ?

やがてお客も減り始めた。
唯一の救いは、ここが駅前で、かつスーパーにあって来やすいこと。
だからまだ来る人がいるんだ・・・・・・

**工場

お客さまの期待はすごかった。
そして期待が大きければ、失望や怒りも大きくなる。
店には再洗の山ができるほどになってしまった。

前の店が出していたのは××工場。
今の店の品物を担当しているのは**工場。

前も書いたが、**工場には元来、お客さま窓口がない。
だから、客商売というよりは職人さんなのだ。
前半の記事で書いたが、そういったこともやがて改善された。
営業担当の△△課長が辞めてからは、**工場の課長がクレーム処理に当たることも増えた。
人員の整理にあたって、本社や店舗から**工場に異動する人も増え、その人たちは店舗の状況も知っている。
そういう交流の中で、店には店の、工場には工場の理屈があることが互いに理解されていった。

でもこの時点では、そんなものはなかった。

何回言っても再プレスになるような品物が返ってくる。
何回戻しても汚れは落ちないまま返ってくる。
あまり戻すと、いい加減にしてくれ的になる。
そしてそれは、こっちも同じ。

シミヌキというのは怖い。
やって品物を傷つけて弁償になるくらいなら、落ちないまま返したほうがいい。
文句は言われるが、弁償させられることはない。

でも、実際に文句を言われない人はいいよ。
じゃ、自分で説明してよ、この怒ってる人にさ。
――と、店側はやけくそな気持ちになる。

それにわたしも今や店舗マネージャーになった。
売上が多いほうが発言力も増すことを、実際予想外の売上になってみて実感している。
この売上を守るには、弁償にならなければいい、なんて言えないと感じる。

お客さまには、リピートしてもらわなきゃいけない・・・・・・

期待に応える、または、予想の甘さ

ABCスーパー(仮名)は期待に応えた。
オープンからしばらくは高級な肉を揃え、新鮮な野菜を揃えた。
その後、通常の商品に戻ったらあまりに不評で、また高い品物に戻したというエピソードもあった。

正直に言って、わたしが働いていた会社では、予想が甘かったということなのだろう。

まさか、こんなに忙しい店になるとは想像もつかなかった。
だから工場受入の上限点数も低すぎて、仕上がり日はどんどん遅れていった。
あまりに遅れすぎるというので余分に引き取ってくれたが、受入態勢ができていないので汚れ落ちが悪いとかプレスが悪いという結果を招いた。

いや、本当にひどかったのだ。
わたしたち店員は本当に困った。

前にいた店では××工場が洗っていた。
この店は、もうひとつの工場である**工場に出すことになったが、実にひどかった。

「再洗」(さいあらい。だけど皆「さいせん」と言っていた)――これはお客さまが納得できないと突き返したという意味だ。
再洗で送り返した品物は、頑張って汚れやシミを落として欲しいのだ。
しかし**工場は全く変化のない状態で返してくる。

**工場の係長は頑固で、怒りっぽく、ごり押しするとつむじを曲げてしまう。
次から店の品を適当に扱われても困るので、なるべく相手をたてて話をしたり、嫌味なことは言わないように気をつけていた。

でも。わたしも何年も働いた身だ。
これ××工場に渡せば絶対もう少し落としてくる、と思ってしまう。

お客さまの文句を受け止めるのはわたしたち。
あんたはいいよね、直接言われるわけじゃないんだから・・・・・・

期待の高さのわけ

こんなにまでABCスーパー(仮名)が人気なのはなぜだろうか?
この人気にあやかって、クリーニングコーナーも連日盛況だった。

それほどこの辺りに住んでいる人にとっては待望のスーパーだったのか?

確かに、この駅は駅周辺にさえ商業施設がない。
両隣の駅には、駅前のにぎわいがあり、スーパーや商店街などがあるが、この駅は後発の駅なのでまだ何もなかった。
あるのは、駅前にコンビニが1つ、パン屋が1つ、酒屋が1つ――のみ。
スーパーはなかった。

でもそういう理由ではないらしいのだ。
ABCスーパーそのものが人気だった。

これは、少し落ち着いた頃、お隣に位置するリフォームコーナーの方が教えてくれた。
その方はこの土地、すぐそこに住んでいる人だった。

もともとこの辺りの人たちはABCスーパーが好きで、××駅のほうのABCまで行ってたくらいなのよ。
――へぇ~。最初の研修で、セレブな土地にしか出したことないみたいなことを言ってたけど、××にもあったのか。
だから、住民会議で駅前にどのスーパーがいいか希望をとったときも、圧倒的にABCだったのよ。
――へぇ! そんなことをするんですねぇ。
でもここ、鉄道会社が●●でしょ? 本当は系列のスーパーを出したかったのよね。だから、ホーム(だったか電車の窓だったか忘れた)から見えるところに「ABCスーパー」って見えちゃいけないっていう決まりなのよ。
――え、そうなんだ。
そうなのよ。文字見えないでしょ?
――そういえば、見えない。ロゴマークだけですね。

もともと期待の大きいスーパーだったのか・・・・・・

仕上がり日調整

1ヵ月後の仕上がりって、いくらなんでもそれはないだろう。
誰だって思うよ。

当然、**工場の課長も思った。
会社のもっと偉い人も憂慮した。

そこで「とりあえず、洗えるだけ引き取るから」ということになった。

でも**工場の課長は慎重な人で、
「まず100点余計に引き取るから、仕上がり日を1日繰り上げていいよ」
と言う。
これを毎日のように繰り返す。

店の中のドライ袋はどんどん片付いていった。

しかし今度は、仕上がった品物がどんどん増えていった。
仕上がったはいいけれど、お客さまに伝えている仕上がり日はまだ先なので、引取りに来ない。
工場は頑張って洗ってくれたけど、もう置く場所がないよ。

だからさ~、繰り上げようと思ったときにどのくらい繰り上げられるか予想をたてて、いっぺんに何日も繰り上げるべきだったんだよね~。

繰り上げる、と決めてからも1日単位で慎重に繰り上げていったから、仕上がった日とお客さまに伝えている日の間のギャップがいっこうに埋まらない。
でも課長にしてみれば、本当に余計に洗えるかどうかやってみないと分からないから、伝えてしまったら大変なことになる、という考え。

××工場には店舗もあったのだが、**工場は洗うのみの工場なので、客商売という感覚が欠けていた・・・・・・

店内はドライ袋だらけ

予想に反してABCスーパー(仮名)**店のクリーニングコーナーは盛況だった。

盛況すぎてどんどん1日分の受入点数を超えた。
ドライを100点受けると、工場が割りあてた1日分の受入上限に達してしまう。
これは、工場が1日に洗える点数ということだ。

T**店の品物を受け入れている**工場の課長の口癖は、
「お店は1点だから、3点だからとオーバーしてくるけど、ウチはたくさんの店から預るわけだからね。3点のオーバーも全部の店がやったら50点100点のオーバーになるんですよ」

だけど、たとえばあと5点で100点の上限になるというときに、1人のお客さんが10点持ってくることもある。
その人に「5点は明日仕上がりますけど、5点はあさってになります」と言うわけにはいかない。
「そういうときは、105点にするのではなくて、95点で受けてもらいたいんですよ。上限が100点なら超えないように90点で切っても、80点で切ってもいいので、とにかく超えないでもらいたいんです」

上限に達したら、仕上がりを1日ずらす。
今日、500点の品物を受けたら、朝出した人は1日の仕上がりだが、夕方出した人は5日の仕上がりになるわけ。
これ、逆に店側から見ると、100点を超えないように5点10点少なく切っていくと、500点受けた日はその日だけで1日分遅れることになってしまうんですけど。

適正な上限点数をはるかに下回る上限なので、1日で何日分も受けてしまう。
そして仕上がり日はどんどん遅れて、2週間後3週間後、あわや1ヵ月後になりかけていた・・・・・・

様子はどう?

長年一緒に働いたベテランマネージャー××さんは、初日に電話をくれた。
「様子はどうなの? やっぱり暇?」
「いや、もう全然暇なんてないですよ。もう・・・・・・な状態で。それなのに△△課長はスーパーの風船配りとかカゴ整理とかしてるし」

社長も来た。
当然だ。新店の様子も見なくてはならないし、ABCスーパー(仮名)への挨拶もある。
そうしたら店内はごった返していて、ドライ袋はパンパンのサンドバッグ状態になったものが山と積まれている。
わたしたち店員はタグ付けや検品に追われて、ろくに社長の相手もできない。
そして△△課長はまたどこかをうろついていていないし。

工場の課長も来た。
△△課長が店舗を担当しているので出てくるつもりはなかったようだが、大変なことになっていると多分聞いたのだ。
「すみません、朝一番からすごい人で、受けるだけで精一杯で、気がついたらあっという間にワイシャツが30枚もオーバーしてしまったんです」
まぁ、しかし、この店内の惨状(足の踏み場もなく散乱するドライ袋サンドバッグ、タグを付け終わっていない品物、検品していない品物を山と入れた大きなカゴ)を見たら、工場の課長も文句を言うことはできなかった。
点数オーバーには実に敏感で、いつもしつこく言ってくる人なのだが。
受入点数を低く設定したせいで、仕上がり日が10日も先になっているのを見ては、何も言えまい。
△△課長はまたいないし。

でも、△△課長の名誉のために、これだけは言っておこう。
わたしはオープンセールの間、まったく休憩をとれなかった。
そんなわたしのために、毎日お弁当は買ってきてくれた。
わたしはそれを、店の奥の片隅で10分で食べたのだった・・・・・・

おまつり状態

初日だから、当然△△課長も朝からつめている。
こんなてんてこまいの今だからこそ、課長が役に立つはず――!

誰だって、検品くらいできる。
すべてのポケットに手を入れて物が入っていないか確認して、後は全体を見てしみやキズをチェックする。
タグだってつけられる。
伝票に記載されている通りの順番で、所定の位置にホチキスでつけていけばいい。
△△課長だって、2つある工場のうち1つを任されていたのだから、そのくらいできる。

さもなければ、お客さまを整理してくれるだけでもいい。
早く品物を出して買い物に行きたいのに、ここで行列している。
イライラしていることだろう。
そういうお客さまたちに、「お待たせして申し訳ありません」とか声をかけ、最後尾はこちら的案内をしてくれるスーツの男の人がいたら、心象もよくお待ちくださるだろう。

でも――△△課長は、影も形も見えないのだ。
いったいどこへ――?

少しお客の波がひいたとき、DPEコーナーに挨拶に行ってみた。
同じ階のテナント同士だし。
すると言われた。
「おたくの課長さん、スーパーの買い物カゴの整理してましたよ。働き者ですねぇ」

そんなことしてたのか――自分のところで働いてくれれば有難いのに。

やがて課長は興奮して帰ってきた。
「入場制限してるよ! 大変そうだから、風船配るの手伝ってきた」
――いや、スーパーは人員余るほど用意してるんだから。こっちのほうが大変だよ。

入場制限するほどスーパーの開店に押しかけるこの辺りの人たちにも驚いたが、自分の会社の店舗をほったらかしてスーパー側の仕事をせっせと(勝手に)手伝ってる課長にも驚きだよ。
「お祭り野郎」という言葉と共に、美空ひばりの歌が頭をよぎった・・・・・・

怒涛の客たち

開店前から長蛇の列だったABCスーパー**店、初日。

いきなりクリーニングコーナーに来る人はいなかろうが、とりあえず3人でカウンターの前に立って開店時刻を迎えた。
誰もいなくて閑散としているのって、印象がよくないからね――と思っていたのだが、客は来た。

開店後1分で最初のお客。
この1分は正面入口から地下のクリーニングコーナーまで来るための時間。
まっさきにやってきた。
それはそうか――わたしだって、まず持ってきた荷物は預けて、手ぶらでゆっくり買い物するものね。

メンバーズカードに記入してもらう。
わたしがレジを打ち、2号3号さんがタグをホチキスでつける。
そして検品をしてドライ袋へ。
研修が充分でないままオープンを迎えたので、いちいち指示。

でも2号さんは元居酒屋店員で忙しさに慣れていたので、すぐに要領を飲み込んでテキパキ働いてくれた。

これはありがたかった!
なぜなら、客はひっきりなしに来たからだ。
確かにオープンセールもしていたけれど、そんなに初日からクリーニング物を出したいと思うとは――。
予想外の展開にてんてこまい。
今後のリピートを狙って「オープンセール中はメンバーズカードを必ず勧める」ことにしていたので、余計な手間もかかり常に行列状態。

「この店はABCスーパー店だから暇な店になるだろう」という、今にして思えば脆弱な根拠の予想のもと、工場からも「1日の品数上限はワイシャツ50枚、ドライ100点」と言われていた。
ところがどたばたとお客をさばいているうちに、あっというまに50枚どころか80枚。
「うわっ! 30枚もオーバーしている! ものすごく文句言われるだろうなぁ~」
急いで仕上がり日のお知らせを変え、伝票を束にしてまとめ、
「ワイシャツ、オーバーしているから、ドライ袋しめて!」――と・・・言っても無理か。
暇な店になるから研修はオープンしてからやれば、という無言の圧力でたいして研修してないんだもんね。

この分じゃ、ドライもオーバーしてるなぁ・・・・・・
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