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食堂近くの窓から

レストランAとB、特にBは社食というより、小さな欧米の大衆食堂みたいで好きだった。
だから買ってきて食べるというより、レストランに行きたかった。

ちなみに、どこか外に食べに行く、というのは――やらない。
できないわけではないが、食べ終わってまた建物に入るのが大変だ。
臨時のわたしたちは、システム担当課の人や長期ヘルプデスクの誰かに迎えに来てもらわないと、ロビーから先に入ることができない。
お昼を食べに行って、そのたびに誰かに来てもらうというのは――ちょっとやりにくい。

メニューがいい、店内の雰囲気が好き、ということとは別に、レストランにはもうひとつ楽しみがあった。

ちょうどレストランがある場所近くの、廊下の窓。
ここから見える景色が好きだったのだ。

そこからはある建物(建物名は秘す)が、ちょうどいい角度で見える。
窓は大きく、はめごろしのガラスで、わたしはいつもウットリ見つめるのだった。

大きな窓なので、途中に仕切り2つがある。
でも3等分ではない。
真ん中が広くとられていて、建物の全体像を断ち切らないように工夫されている。
一枚の絵のようだった。

この仕事が終わったら、もう一生、この絵のような景色を見ることはできないだろう。
だから記憶に刻み付けておこう、と思った。
一人で食事に行ったときは、窓に近寄って眺めた。
誰かと行ったときは、通りすがりにでも見るようにしていた。

だから今でもちゃんと、あの景色を目の前に浮かび上がらせることができる・・・・・・
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ランチ ~相手がいるとき~

だいたいいつも臨時ユーザーサポートは2人体制。
ランチに交代で行くということは、いつも1人で食べに行くということだ。

しかしそうとは限らない。

同じ派遣会社から派遣されている長期ヘルプデスクの人たちは、6,7人いた。
彼女たちも交代で行くので、同じ時間帯に行く人たちがいることもある。
仕事の話はよく分からないが、いろいろな話が楽しかった。

マイナーで誰も知らないと思っていた番組が好きだと分かって、盛り上がったこともある。
「日高義樹のワシントン・リポート」というテレビ東京(関東地方ではこのチャンネル)で放送していた番組だ。
放送時間帯が日曜の夕方という、あまりテレビを見ない時間帯のためもあって、一緒に食事していたほかの人は誰も知らなかった。

派遣会社にとっては大切な顧客らしく、よく営業さんも様子を見に来ていた。
そういう営業さんも一緒に食事をすることもあった。
「私の主人はプロゴルファーなの。だから食事を作るのが難しくて面倒で」
「ええ! すごい! わたし、プロスポーツ選手の奥さまって初めてお会いしました!」
「全然すごくないのよ。賞金だけで稼いでいるようなプロじゃないから」
というような人もいた。

どこの派遣会社がいいか、という、当時わたしがどこに行っても聞いていた質問もした。
「どこもそんなに変わらないと思うから、したい仕事を扱っている会社が一番だと思うけど、△△だけはよくないって」
「え、やっぱり!」
――かつて、「△△には給料を間違えられたことがある」「△△はよくない」という意見を、他でも聞いたことがある。
「なんか、△△はこれこれこういう、業界のルール破りみたいなことをするんだって。友達がそういう目にあったの」
「へぇ」
「あ、身内の方に△△の関係者の方とかいないよね?
前の会社である社員が、△△ってどう?って聞いてきて、言おうとしたら、自分のおじさんがその会社の重役でさ、って言われたことあるんだ~。
あのときは、焦ったよ~。言わなくてよかった~!って思ったからさぁ」
――それは、本当に良かったですねぇ。

なんて、いろいろな話ができて楽しかった・・・・・・

ランチ ~交代システム~

ランチを食べる場所は2ヶ所あった。
レストランAとレストランBだ。
ここまでの道だけは覚えた――エレベーターで9階まで行って、隣の棟につながる通路を行く。
行き着く先は、隣の棟の8階で、ちょうど行き着いたところに2つの食堂が並んでいる。

それ以外に、コンビニで買ってきて食べる、という選択肢もある。
コンビニはC棟の地下にあった。
もちろん、お弁当を自分で持ってくるという手もある。

ただし、コンビニで買ってきた、あるいはお弁当の場合、この席で食べなければならない。
ちょっとお昼を食べるには向かない雰囲気だった。
わたしがよそものだったせいかもしれないが。

レストランに関しては、このA~Dまでのすべての棟の人が一箇所に集まっているかどうか分からない。
他の場所にもいくつもあったのかもしれないが、わたしは行ったことがないし、あるかどうかも知らない。

レストランAとBは値段に差があった。
Bのほうが高いのだが、Bのほうがわたしのお気に入り。

こちらはその省庁の方もお客さんとやってくることもある、ちょっと洒落た感じのレストランなのだ。
テーブルクロスも柄が可愛らしいし、壁の色に合わせてある。
壁にはちょっとした装飾がかかっていて、欧米の小さな通りにある安くておいしいレストラン風のイメージ。

高いと言っても1500円も2000円もするわけではない。
それだったら、たまにはこっちで気持ちよく食べたいな、と思う。

出てくるものもAは大衆的、Bはちょっとだけ洒落ていたが、でも大して高級そうだったわけではない。
日替わりランチ1がチキンのなんとかソースで、2がハンバーグステーキ――その程度。

ユーザーサポートデスクを空けるわけにはいかないので、ランチに行くときは交代で行った・・・・・・

午前のレポート作成

朝の立会いはだいたい2時間程度で終わる。
そうしたら、わたしたちは元の部屋に戻ってくる。

わたしたち臨時のユーザーサポートには、ちゃんとした机という感じのものは与えられていなかった。
システム担当課の部屋の中に、たぶんいつもは物置になっているのではないかと思える会議用テーブルがあり、そこが居場所だった。

もっと具体的に説明すると、システム担当課のドアはいつも開け放されている。
出入りが多いからだ。
開けっ放しのドアを入ると、奥がシステム担当課。
そこまで行く通路の左側に、長期派遣ヘルプデスクの島。
その二つの部署は、小さな衝立で仕切られている。
その衝立に会議室用テーブルがくっつけられている。

わたしたちはそのテーブルに、システム担当課を背にし、目の前が衝立という状態で座る。

しかしさすがはシステム課&ヘルプデスク。
臨時のユーザーサポートの分も3台のノートパソコンを用意してある。

立会いから帰って、そのテーブルの席につく。
別の場所に立っていた相棒は、もう戻ってきているか、いなくてももうすぐ戻ってくる。

そして互いが受けた質問と対応を情報交換し、データベースに入力する。
質問を集計するためのデータベースは、派遣会社が用意してくれた。
別にそれは雇い主から言われたわけではないが、何も記録がないのも困るだろう、ということで。

午前の立会いが終わると、その分をデータベースに入力、というのが毎日の流れだった・・・・・・

場所によりけり

立ち会っているときに質問される量は、場所による。

パソコンを普段から使い込んでいて、いろいろなことに詳しくなっているような部署は、当然あまり聞かれない。
難しい内容ではないので、説明書を見ればだいたい分かるのだ。
逆に普段あまりパソコンを使っていないような部署でも聞かれない。
きっとそういうところは、後になって、いざ使おうとしたら「あれ?」と思うのだろう。

でもまあ、あまり聞かれることもなかった。
難しい内容ではなかったのだ。

夜のうちに入れ替え作業は行われるが、作業したPCには説明の紙が置かれている。
そこに「今度からこうなったので、この手順でログインしてください」とちゃんと書かれている。
ログインさえできれば、後は普通に使うのとほとんど変わらない。

あまり聞かれなくても、だんだんわたしも覚えていった。
「紙を読むの面倒だな」という人や「専門用語っぽくて分からない」という人が質問をしてきたら、手順通りに答えられるようになった。
どんな質問が出たかは毎日まとめるので、よくある不具合なら「あ、あれか」と分かるようになった。

自分で対応できないものは、すぐSEさんに言えばいい。
怒られたり、文句を言われたりしたら、丁寧に謝っておけばいい。
おろおろしていて時間がかかり、それでクレームになることが怖い。

このあたり、サービス業時代のクレーム対応のコツが生きている。
けれど、そうそう怒る人もいなかった。
SEさんにはどうか知らないが、所詮わたしはしがない単発派遣スタッフ。

偉い人というのは、そんな下っ端には優しいものなのである・・・・・・

喫煙所

ある日の立会いは、広い廊下だった。

すぐそこは廊下の行き止まりで、窓があった。
窓の手前のほうの壁に、重そうな扉があった。

「少しここで立っていて。大丈夫そうだったら、別の部署に移ろう」
SEさんはそう言って、各部屋の様子を見に去って行った。

わたしは立って待っていたが、特に誰も声をかけてこない。
疑問点はないらしい。
第一、あまりこの辺りにはドアもない。

ふと、ジャケットなしのスーツ姿で、職員と思われる人がやってきた。

重そうな扉の前で立ち止まり、ギギー、と開けた。

もあぁ~~~~・・・・・・

喫煙所だったのか!
うう・・・・・・すごい煙だ。

ドアはすぐに閉まったが、一瞬廊下に流れた煙はものすごかった。

それよりもすごかったのは、その一瞬に垣間見えた部屋の中だった。

喫煙のためのテーブルの周りに人がぎっしり。
室内の空気は、まるで濃霧。
3歩先も見えなさそう。

この中に入っていくのは、喫煙者であっても大変な勇気がいるだろう。

――と感心しながら、わたしは後じさり。
少しでも離れていようと思ったのだった・・・・・・

朝のお茶くみ

ドアがたくさん並んでいる廊下。
午前の立会いで、わたしは始業時間前から廊下に立っている。
ユーザーサポートの仕事の開始時間は、職員の方たちの始業時間より早いのだ。

始業時間になって、皆さんがパソコンを起動する。
あれっ!?――となったとき、すぐに対応できるように、始業時には既に配置についている。

始業を告げるベルが鳴る。

1分、2分。
そのくらい経つと、そこここのドアが開く。
OLさん、という感じの服装の人たちが、それぞれのドアから出てくる。

湯沸しポットを持って。
あるいは、小さなワゴンを押して。
ワゴンには湯沸しポット、湯のみなどが乗っている。

それぞれの室はとっても小さいけど、その1人か2人の官僚の人と一般事務の人がいる。想像だけど、たぶん。
もしかしたら秘書なのかもしれないけれど、秘書――というより普通に見えた。

彼女たちの朝一番の仕事は、お茶くみなのだろう。

まずはポットを持って給湯室へ行くのだ、きっと。
そしてポットを洗って新しいお湯に入れ替える。水かもしれない。
汚れた湯のみなどがあったら、洗ってくる。

もしかしたら給湯室で、顔なじみのOLさんとちょっと話したりするのかもしれないけど、今はそんなことはおくびにも見せず、楚々として廊下を歩いていく。
帰ってくるときも、済ました顔で歩いてくる。

廊下は、お茶セットを持った(あるいは押した)OLさんたちで、賑わっている。
互いに話も挨拶もしないけど、同じくらいの時間にいっせいに出てきて、歩いている。
おすましして――。

こういうの、憧れだ・・・・・・

立会いの醍醐味 ~怪しげな通路~

午前の立会いはいろいろなところに行く。

一度、不思議なところを通った。
物置のような通路だ。

たとえば棟によって、または階によって、新しい企業ビルのようなところも、コンクリートうちっぱなしっぽい昔ながらの官庁なところも、あった。
わざとなのかごちゃごちゃしているし、当然館内案内図などもないので、朝はSEさんに連れられてその日の立会い場所まで行く。

ある日、「今日は××課と××課と○○課○室なので」と言われ、後をついていった。
エレベーターで下へ。
廊下を歩いていく。
曲がる。
歩いていく。
別な棟に行くのかな?と思う通路。

――もうこの辺で、わたしはどこを歩いているのか既に分からない。

そしてSEさんはあるドアを開けた。
重そうなドアが、ギー、と鳴りながら開く。

何の塗装も装飾もされていない、建築途中のようなコンクリートむきだしの壁。
ひびわれが入っている。
掃除用具などがコンクリートの床に置いてある。

でもここは部屋という感じではなく、通路。
ホラー漫画や映画なんかだと、こういう秘密の通路に死体が隠されていたり、悪霊が棲みついていたりする。

――こんな場所があるんですねぇ。
口をあんぐり、という状態のわたしに、SEさんが言う。
「攻撃されたとき、VIP職員さんが非難するための場所だという伝説があるらしいよ」

へぇ! 面白い! そういう都市伝説大好きだ・・・・・・

立会いの醍醐味 ~様々な部屋~

立ち会う場所はさまざま。
ここには実にたくさんの部屋がある。

たとえば仮に、自転車を振興しよう、という趣旨の省庁だったとする。
「普通自転車室」「マウンテンバイク室」「ロードバイク室」というような、大きな課もある。
かと思うと、「ママチャリのカゴネット普及室」「小学校自転車教室開催振興室」みたいなものもある。
「ロードレース拡大協議室」「ロードレース開催地選出室」もあるかもしれない。
「自転車普及による地球温暖化対策室」もあるだろうし、「自動車-自転車連絡室」もあるだろう。

それ以外に、総務課や資材課や資料室や広報課のような、一般的な部署だってあるはずだ。

総務課や広報課だったら、人がたくさんいる。
まるで普通の企業のように、広い部屋に机が島になって並んでいる。
座っていたり、立っていたり、出入りしていたり、人がそれぞれの仕事をしている。

○○室のようなところは、大きさも場所も部屋の感じもまちまちだ。

小さいドアがはるか果てまで並んでいる廊下に、「○○室」「○○対策室」「○○振興室」「○○室」と部屋札がならんぢえるところもある。
そういうところに入っていったことはない。
あまり質問されることもなかったのだ。
小さな部屋に赤いじゅうたんが敷かれていて、国会の映像のようだと思ったりしたところもある。
そういうところはたいてい中心部にあって、窓がどこにもなかったりする。

窓があって、光がさんさんと入り、部屋はオフィスというより洒落たリビングのようなところも見た。
広い空間にデスクとパソコンが1セット。
部屋の奥のほうの壁側は、ほんの階段半段ほど高くなっていて、そこにガラステーブルとソファが置いてある。
仕切りは何もないけれど、応接室空間という感じで、気持ち的に仕切られる。

いつもは立っているのだけど、この部屋では「どうぞおかけになって」とソファを勧められた・・・・・・

立会いの醍醐味 ~不明の場所~

棟はいくつもあり、それらが適当につなげられ、どの棟とどの棟が何階でつながっているかも分からない。
それぞれが違う作りになっているし、整然と作られている感じもしないので、まるで迷路のようだ。

――ということを前に書いた。
出勤しても、同じエレベーターに乗り同じ順路を辿らないと、毎日向かう部屋にも行き着けない。
これはペンタゴンと同じで、わざとそうしているのか?――と思うほど。

なので、立会いのためにいろいろなところに行くのは、興味深かった。

予定表では、どこどこ室とどこどこ課が昨夜の作業場所になっている。
その近くで立っていてもらいます、と言われ、上司であるSEさんの後ろにくっついて出かけて行く。
ボードと筆記用具を持って。
もし何か質問をされたら、ボードに挟んである用紙に内容を記入する。
マニュアルも挟んであるので、自力で答えられなかったらマニュアルを見る。

「じゃ、君はこの辺に立っていて。もう1人の君は――そうだな、あの辺にいてもらおうかな」

広い廊下で、新しい綺麗な壁、傷のないドアが並ぶ場所のこともある。
古い建物で、床にも壁にも古い傷があり、大小さまざまな大きさのドアが並ぶ場所のこともある。

いったいそこがどこなのか、分からない。
C棟の3階なのだとか、B棟の8階なのだとか、聞いていたとしても二度と行けない。

立っていて、と言われて立っているが、不安になることもある。
もう1人は1つ下の階にいて、SEさんたちはもっと重要ポイントにいて、誰の姿も見えないときなど。
もし2時間経っても誰も来なかったら、いつまでいたらいいだろう?
戻ろうとして、自力で戻れるだろうか?

あまり反応がないと、2時間経たないうちにSEさんがやってきて、「大丈夫そうだから帰ろう」と言ってくれる。
もう1人がどうしているか分からないまま、その人について元の部屋まで戻る。

階段を通ったり、エレベーターに乗ったり、棟と棟をつなぐ変な段差や傾斜のある通路を通ったりして・・・・・・

午前 ~立会い~

午前の第一の仕事は「立会い」と呼ばれるもの。
お仕事をしていらっしゃる皆さんに立ち会って、質問があれば受け付けるというもの。

と言っても、第一日目など、自分でも分かってない。
マニュアル片手に、びくびくしながら立っていて、聞かれたらマニュアル見ながら答える・・・・・・。
やれやれ。

立会いは、廊下などで本当に「立って」いる。
約2時間――足が疲れる。

場所は毎日違う。
大量の人が働く大きな省庁なので、パソコンも大変な数だ。
作業は順次進められる。
作業予定表があり、5日は××課と○○課、6日は××室と○○対策室、といった具合。
システム変更作業は、終業時間後、夜を徹して行われる。

昨夜はこの棟のこの階とこの階をやったから、1人はここ、もう1人はあそこに立っていて。
というわけ。

あれ~? やり方が分からないぞ、と誰かが思って廊下を覗くと、わたしたちがいる。
「あ、ちょっとちょっと! これ、どうやればいいの?」とお声がかかる仕組み。

わたしたちもいるけれど、当然、システム会社のSEさんたちも同じところをうろうろしている。
やり方が分からない、くらいのことならわたしたちで対応できても、不具合があったらユーザーサポートでは無理だ。
何しろこういう大きな組織、しかも国の組織は上得意だろうから、ミスや不具合があったらすぐさま治さなければならない。

昨夜も徹夜に近いっていうのに、今朝もこうして朝一番から立ち会って――
仕事とはいえ、SEさんは大変だと思った。

さて、2時間もすれば、たいていの人はパソコンを起動して操作する。
起動しないだの、うまく動かないだの、重要な不具合があれば、それまでには分かるだろう。
やり方が分からないという質問が続出するとしても、だいたい2時間くらいの間だろう。

ということで、2時間ほど立ち会ったら、ヘルプデスクの部屋に戻る。
しかし何も質問がなかったりすると、2時間は長い。
かといって、質問されたいわけではないので、退屈しながらもドキドキして立っていた・・・・・・

出勤する

いよいよ出勤することになったが、最初のうちはやっぱり慣れなかった。

夏の暑い中、門のところで炎天下立っている警備員さん。
「えっと、システム担当課の、山○様、ユーザーサポートの仕事で、えと、――」
なぜか緊張してうまく言えなくなるわたし。

正面玄関を入って、小さなロビーでもう1人のスタッフを待つ。
――しかし、だいたいはリーダーの男性スタッフのほうが早く来ていたので、待たなかった。
「もう紙を書いておきました」といつも言われ、お待たせしてどうもすみません、と会釈する。

中に入ると、館内は迷路。
自分はA棟(仮称)の5階に行くはずだが、そのためにはB棟のエレベーターで4階まで行って、降りたら歩く。
段差あり、傾斜ありの継ぎ足し建物、B棟の4階はA棟の5階につながっている。
わけがわからない。

出入りが厳重にチェックされるおかげで、行きも帰りも人と一緒なので迷うことはないが。

コンビニはC棟の地下にあるので、そこで飲みものも買えますよ、と言われても・・・・・・。
わたしには辿りつけないと思う。
そして行ったら帰って来られないと思う。

いつも同じエレベーターに乗り、いつも同じ道を通り、ヘルプデスクのある部屋までの道はなんとか覚えることができた。

このようなところで、用のないところをウロウロしていたら怪しいだろうから、そりゃあちこちウロウロはできない。
でも怪しくなかったとしたって、行ったことのないところなど行けなかった。
アメリカのペンタゴンなどは、とても分かりにくい作りだそうで、でもそれは侵入者を防ぐ意味があるのだと聞いたことがある。

ここもそうなの? ・・・・・・

システム担当課とヘルプデスク

「なんとか省(庁)」にも、システム担当課があった。
多くの会社にはシステム管理課のようなものがある。
実際にシステムを構築することは、専門の会社に委託するだろう。
社内向けに管理運営をしている課が大なり小なりあったりする。

「なんとか省(庁)」は巨大な組織だ。
当然、そういった課がないわけはない。

さて、その人たちの下に、ヘルプデスクが設置されている。
システム担当課のある部屋の入り口近くに、ヘルプデスクの人たち6,7人の島があった。
ヘルプデスクは、何に限らずパソコン関係の質問を請け負っている。

「Wordでこれこれをしたかったら、どうやればいいんだっけ?」
「パソコンの調子が悪くて、起動しないみたいなんだけど」
「仕事で使うので、Acrobatをインストールしたいんだけど」
「Excelでこれこれをしてるんだけど、うまくいかないんだよね」
「間違って削除しちゃったものって、もうどうにもならないかな?」

なんか、なんでもありらしい。

そのヘルプデスクは、わたしが派遣されているのと同じ会社からの派遣スタッフで成り立っている。
ただしこちらは長期。

わたしたち臨時のユーザーサポートたちの上司は、システム担当課である。
同時に、このシステム導入を担当するシステム会社である。
派遣会社にお金を出している依頼主は、システム会社のほうらしい。
でもこの派遣会社を推薦したのは、長期のヘルプデスクを使っているシステム担当課だろう。たぶん。

上司はそういう人たちだけれど、同じ派遣会社から来ているので、ヘルプデスクの存在は有難かった・・・・・・

研修 ~できるのだろうか?~

こんなわたしでもできるのだろうか?
自分のスキルに自信のないわたしは、心配だった。
よくよく説明を聞かなくては、と勢い込んで研修を受ける。

しかし――
研修って、こういうものなのだろうか?

「このようなシステムになります」
と渡されたのは、特別なものではなく、たぶん一般ユーザーの皆さん方にも配るであろうプリント。

男性みたいな女性が説明してくれた。
話し方もサッパリした感じの人だった。
「これまでは、これこれこんなふうにしていたんですね。今回の入れ替えで、こんなふうに変える予定です。
これまでのやり方に慣れちゃってる人は、どうしてこんなふうにできないの、とか、今までやっていたああいうふうにしたいんだけど、という質問が出てくると思います。
それに対応してもらえばいいんですが。
この紙にも書いてあるんですが、新しいドメインが配られて・・・・・・」

なんていうか、分かったような分からないような。

どうも「新システム」と言ってはいるが、新しいアプリケーションやソフトという意味ではないようだ。
本当に新しい「やり方」「仕組み」。

これまでは各自が個別のコンピュータに保存したりしていた。
ただし、たとえばWindowsでいうマイドキュメント的なドライブがあり、そこに格納する決まりだった。
そうすれば、コンピュータの入れ替えや人事異動があったとき、そのドライブの中身だけシステム担当課が移動すればよかった。

しかし、いろいろな理由で、今後はネットワーク上に保存することにした。
そうすれば、異動やマシンの入れ替えがあっても、データの移動をする必要はない。
どのパソコンからでも、ネットワーク上の自分のフォルダにアクセスすればいいのだ。

それに伴って、ログイン方法などが変更になる。
自分のデータをネットワーク上のフォルダに移動する必要がある。
ついでにメールもネットワーク上に置いておくことにする。

こういう説明を紙を見ながらしてもらい、新しいログイン方法なども紙を見ながら口頭の説明。
新しいソフトを使うわけでもないし、難しいことはない、という判断からだろうけど、わたしは不安。

研修は2時間もかからず終わった。
わたしでもできるのだろうか・・・・・・

研修 ~3人のサポート要員~

研修の日、これから一緒にやっていく人たちと顔を合わせた。

全部で3人。
わたしの他に、もう1人、派遣の男性。
30代くらいに見えた。
もう1人も男性、有名大学の学生さん。

男性ばっかりか~。
わたしは女性ばかりというのが苦手なので、ちょうどいいかと思った。
でも結局は、性別ではなく相性なのかもしれない――と勤務期間の後半には考えるようになったが。

必要なのは1日に2人。
日によっては3人。
新システムは、全部いっぺんに入れ替えるわけではなく、部署ごとに何日もかけて入れ替える。
入れ替える部署が多かった日は、質問なども多く忙しいと予想されるので、人数が多く必要。

シフトにはどのくらい入れるのか、と思ったが、割とたくさん入ることができた。
有名大学の学生さんは、学生なだけに忙しく、あまりシフトに入れないのだそうだ。

営業さんがシフト表を配ってくれたが、学生さんのいる日はほんの数日だった。
わたしと組むとは限らないので、わたしが彼と会うのは2日か3日くらいのものだった。

つまり、ほとんどの勤務はもう1人の男性とすることになる。
ちなみにこの人がチームリーダーだった。

男女が平等に社会に参画することについて、いろいろと言われているが、わたしは単発派遣で女性がリーダーを勤めるのを見たことはほとんどない。
別に文句を言っているわけではなく、キャリアから言ってもこの3人だったら彼だろうと思うけど、とにかく見たことがないのだ。
派遣はやはり派遣先の印象というものもあるので、特に単発であれば男性が上に立っているほうが見栄えがいいのだろう。

こんな感じで、ちぐはぐっぽいチームだったが、まあなんとかやっていけそう・・・・・・

研修 ~建物の中に入るまで~

ユーザーサポートといっても、どういうものをサポートするのか?
自分が使い方を知らないものをサポートなんてできない。
というわけで研修があった。1日だけだったけど。

研修の日は、建物の正面玄関を入ったところにある、小さなロビーで他のスタッフと営業さんと待ち合わせ。

××駅――政治の中心地という気がなんとなくする駅で降りる。
出口から少し歩く。

ずっと石壁のような塀の脇を歩いているのだが、これが敷地ということだろうか?
その石壁の、一部分開いたところが、入り口だ。
警備員さんが複数人、立っている。

そちらに近寄っていくと、一番近いところにいた警備員さんに、厳しい声で誰何された。
「どちらにご用ですか?」

駅を出たときから、かばんから取り出して握り締めていたメールのプリントアウトを見るわたし。
このメールは派遣会社からのもので、どのようにして中に入るかの指示が書いてあるのだ。
「えーと、システム担当課(仮称)の山○様あてに、ユーザーサポートのお仕事の件で参りました」
どこの誰のところに来たのか、そして用件――この2つを言わないといけないのだ。

警備員さんは手持ちのクリップボードを見る。
「どうぞ」

ぎくしゃくしながら敷地内を歩いて、正面玄関へ。

ガラスのドアを入ると、男女1名ずつの警備員さんがいた。
「お荷物の検査にご協力ください」
検査をしないと向こう側には行けないような作りになっている。

指示されたベルトコンベア式の検査機にバッグを置く。
バッグのX線写真が画面に映し出されて、女性警備員さんがバッグの中身の画像を見る。
バッグがガラスの壁の向こう側に送られていく間に、わたしも人間用検査機を通る。

「ありがとうございました」

ようやく中に入ったが、このロビーから先に行くには、職員の方のお迎えがないとダメだ。
入館申請書を書いて受付嬢に渡して(これは企業でもよくあるけど)、待つ。
でも1人1人が別々に職員さんを呼びつけるのは効率が悪いので、全員がロビーに揃ってから。

この中に入るまでの手続きは、勤務期間中、毎日同じなのだった・・・・・・

省庁

ユーザーサポートの仕事、勤務場所はある省庁だった。
「なんとか省」「なんとか庁」とかいう、あれ。

官公庁の仕事は時給が安い――これは、常日頃、仕事情報メールを見ていると感じること。

選挙の際の受付や開票の仕事、税の申告の時期の税務署や国税局などの仕事、事務の仕事、軽作業的事務の仕事。
どれも事務仕事の相場より500円~700円ほど、時給が安い。
時給で500円~700円安いのだから、一日当たり、一週間当たりはかなりの差になる。
軽作業的な「OAなし」と書いてある仕事の相場から考えても、200円~400円ほど安い。

でもその時給で、他の派遣単発の仕事と並んで、仕事情報メールマガジンに載っている。

まあでも「官公庁」と書いてあるときは、千葉市市役所ということもあるわけで。
または江東西税務署ってこともあるわけで。
「なんとか省」「なんとか庁」といったら、ずいぶんスケールが大きい印象だ。

でもやっぱり時給はお安い。

「なんとか省」「なんとか庁」ってとこに行くのに、このお時間給ですか!?
こんな時給で集まってくる人材でいいの!?
――しかし、条件は結構いろいろつけられているのだ。
派遣会社がその差分をものともせず、優秀な人材を見つけてくればいいだけだ。

そうはいっても回転寿司のバイト時代より安い時給だったのだから、派遣会社も難しかったろうと思う。
だからわたしでも採用されたんだな・・・・・・

ユーザーサポート募集

わたしのメインの仕事はPCインストラクター。
でも毎日はないから派遣単発で埋めている。

PCインストラクターとしては「ひよっこ」なので、できれば派遣単発でもそういう仕事をしてキャリアを積んでいきたい。
条件がちょっと悪くても、メインの仕事のキャリアになることなら優先して応募しよう、と考えていた。

そんなとき目にしたユーザーサポート募集のお仕事メール。
だいぶ前に登録しておいた派遣会社からの、仕事情報メールマガジンに載っていた。

時は夏。
8月の3週間の仕事だった。

同じメールに講習会のインストラクターの仕事情報もあり、両方に応募してみた。
講習会は2日しかなく、3週間のユーザーサポートと日程が重なっていた。
できれば講習会の仕事をしたいけれど、2日しかなくて後は他の仕事を探さなきゃならない、というのは面倒だ。
でもやっぱりメインの仕事の経験を積みたいかなぁ?

決めるのは相手だけれど、つい色々考えてしまう。

結局、両方の仕事をすることになった。
ユーザーサポートはもともと、3人が交代でシフトに入る体制とのこと。
だから逆に、わたしも毎日働けないわけだ。

しかもこの仕事、時給が安い。

でも今後のためになる仕事だと思うし、なぁ・・・・・・

仕事ファイル05開始

2年目

05:ユーザーサポート 省庁

終了、その後

延長した1ヶ月も過ぎようとしていた。

わたしたちが作業していたデータは第一陣で、今後も同じようなものが来ることになっているそうだ。
しかしまた到着が遅れるかもしれない。
それに第一陣を作業させてみて、今後のやり方を考えようということにもなったらしい。
それはやっているわたしたちも感じた。
重複レコードにチェックをつけているけれど、削除するわけではない。
そういう最終チェックは誰がするのか、結局は社員の手を煩わせることになるかもしれない。

もしまた単発派遣を雇って作業をすることになるとしても、仕切り直しをする。
ということで、ここで仕事はいったん終わりとなった。

「単発」として働いた仕事としては、結局ここが一番長かったかも。

終了の少し前に、単発仲間の『新婚』さんに長期の依頼が来た。
この同じ会社の2つ上の階で、長期派遣の募集が出たのだ。
この会社に通うのも慣れたところだし、と言って、彼女は受けた。
終了しても、翌日から別フロアに通ってくることになる。

『人妻』さんは「そろそろ子供を」と考えているので、長期は希望していない。
この仕事が終了して割とすぐに子供ができた。

『黒髪』さんは、たとえ延長になったとしてももう働けないのだ。
マネージャーをしているバンドがライブをする、忙しい時期に入るからだ。

『モデル』さんは特に何も変わらない。
今後、どのくらいモデルの仕事をするかなぁ?とは言っていても、今すぐ辞めるわけではない。

長期派遣チームの人たちは当然そのまま仕事をするわけだが、彼らも正社員ではない。
この年単位のキャンペーンが終わる頃には、契約終了となるそうだ。

わたしはまた、メインにしている仕事と単発探しの日々に戻る。

ラストスパート

最後の期間だ。

残業できるとき、つまり長期派遣の人たちも残っているときには、自分も残業したりして頑張ってきた。
そうして、ようやく恐ろしく件数の多かった「東京地区」ファイルもめどがついてきた。
後は、自分で課した一日のノルマをサボらずやっていけば、最終日にはちゃんと終わる予定。
(そして最終日は、30分前に終わって、後は適当に見直しをしていた)。

このオフィスに入ることももうないんだなぁ。
それにこのビルで働く人しか入れないエリアに入れるのも、きっと最後だろうなぁ。
またこのビルの仕事があって、さらにそこにわたしが応募し、採用される、という3つもの関門は突破できないだろう。

なんか気に入ってた緑山さんともお別れ――
(とはいえ、わたしも既婚者だったので、何が起こるわけでもないのだが)。

窓がいっぱいで明るい廊下も、休憩室でのランチも終わりだ。
これまで仲良くやってきた単発仲間とも、長期派遣チームの人たちともお別れ。

そして何より、仕事が終わってしまう。

そろそろわたしは次の月の仕事を探し始めていた。
夜はWebサイトで検索し、昼は登録しているいくつかの派遣会社に電話した。
メインの仕事が入っているので、空いている期間にぴったりの仕事を探さなければならない。

見つけるのは、なかなか難しかった。

今の仕事は疲れるので、ずっとやりたい仕事ではない。
でも、仕事があるって有難いことだ・・・・・・

残業と夜食

延長して、翌月、また仕事がたくさんやってきた。
データが届いたのだ。
それぞれがいろいろな地区のデータファイルを受け取って、作業を進める。
終わったらまた別の地区のファイル――。

月の中盤になってわたしは、件数が桁違いに多い「東京地区」のファイルを引き受けた。
6万件以上ある・・・・・・。

この仕事を今月中に終わらせるには、だらだら作業するわけにはいかない。

体力というより、気力が萎えるうんざりする仕事で、単発仲間は5人とも辟易していた。
頭がぼんやりしてくると、休憩室に行って飲み物を飲んで帰ってくる。

「東京地区」の仕事を受け取ってから、わたしは「一千件分検索したら一息つきに行く」と自分で決めていた。
ただ席を離れるだけで、飲み物は飲まずに帰ってくることもあったけれど、それだけでも救いになる。

あと8日くらいに迫ったとき、わたしは逆算してみた。
これまでの経験で、だいたい一日にどのくらいできるか分かってきた。
最終日から一日当たりこれだけやっていくとすると――終わらない計算になる!

そこでわたしは残業することにした。

だいたい1時間とか2時間とか残業していたが、終わりの日も迫ってきたある日は、10時頃まで残業した。
遅くとも長期派遣の人が帰る頃には帰らなくてはならないが、この日は青川さんも遅くまでいると言うのでぎりぎりまでやろうと思った。
9時を過ぎた頃、「部長」という偉い人が通りかかって、わたしと長期派遣のリーダー青川さんを夜食に連れて行ってくれた。

おいしいうどん屋さんで、カレー力うどん(カレーうどんにお餅が入っている)をごちそうになった。
ごちそうになっている時間も残業時間としてついてしまうので、ちょっと恐縮だったけど、嬉しかった。

それは憧れの、「残業していると上司が夜食をごちそうしてくれる」の図だったから・・・・・・

延長の話

1ヶ月――終了のときが近づいた。

ところが、延長の話が出た。

この仕事は開始も遅れた。
作業するためのデータがなかなか届かなかった。
今も届いていないデータがある。

そこであと1ヶ月、同じ仕事で単発派遣スタッフを雇うことになった。

今作業している人たちがそのまま続けられるようなら、教える手間も省ける。
続けられない人の分は、補充する。

結局、全員が継続することになった。

『モデル』さんと『人妻』さんは、他に特に予定もないから。
『黒髪』さんは、、来月もどうせ何か仕事を見つけなければならなかった。
ボランティアでマネージャーをしているアマチュアバンドのライブなどの予定も今はないから。
『新婚』さんは、長期を希望しているけど、今日明日でなくてもいいから。

わたしは――来月になると、メインでやっている仕事が入る。
その日程が何日かあるが、そちらは早く終わる。
なので、その日は午後から来ることで良ければ、という条件付きで引き受けた。

わたしとしてもとても有難かった。
ポロポロと入るメインの仕事の合間を縫って単発を入れるのは難しい。
そして午後からの仕事など、ほとんどない。

実は面倒な検索の仕事自体にはうんざりしていたが、この会社で翌月も働くことになった・・・・・・

通勤

ここに通勤するときは、途中、山手線に乗った。
山手線はぐるりと円を描いている路線である。

東京、上野、池袋、新宿、渋谷、品川、新橋、秋葉原などを通っている。
朝の時間帯の山手線は混む。

最近は始業時間が会社によって9時、9時半、10時とまちまちなので、多少緩和された。
また、乗る区間によっても込み具合が違う。

でもラッシュなので、やはりどうやっても、ゆったり乗るわけにはいかない。

ドアの近くで潰されそうになって乗っていると、ある箇所でいつも目を奪われる。
真っ赤な大きな丸い球が目に入ってくるのだ。

何階建てだろう? 3階? 5階?
大きな建物の中央に、どかんとボウリングの球がめりこんでいるような建物がある。
その球は深紅の色で、目立つ。
球は、もし5階なら3~5階部分あたりに大きくめりこんでいる。

でも本当はめりこんでいるのではなくて、外側に半球がついているのだろうと思う。

すごい建物だ。
毎日見ても、やっぱりそこを通るときはまた見たくなった。

「日の丸自動車」という自動車学校だ。
恵比寿辺りを歩いていると、この学校の教習車を見かけることがある。
丸い球と同じ、深紅の色に塗られた教習車で、目立つ。

そういえば、ここに通っている間、山手線の窓から外を見ていたら、虹が出ていたことがあった。
乗り合わせた人は、誰も何も言わなかったけど、気づいた人もいたと思う。

朝の通勤電車というのは、たいてい連れ立って乗らないものなので、話し声は聞こえないのだ・・・・・・

土地の名物

長期派遣チームの紅村さんから、おいしいお菓子を教えていただいた。
駅ビルに入っているお洒落スーパーで売っている。
このお洒落スーパーは、わたしが住む区にはない。たぶん。
お洒落な街にある。

この駅もそういう「お洒落」街に入るのだろう。

このお洒落スーパーならどこでも買えるかどうかは、ちょっと分からない。
うちから一番近い隣の区のお洒落スーパーでは売っていた。

洋菓子で、働いている間、何度か買って帰った。
終わりのときには、かなりの数を買い込んだ。

単発派遣仲間の『モデル』さんからは、ごままんじゅうを教えてもらった。
この駅から出ている支線のどこかの駅に本店がある。
支店が駅近くにあって、ちょっと若者向けかな?と思うところもあるが、おいしかった。

これはおみやげものにもいい。
でもなかなかこの駅まで行かないので、辞めてしまってからは買う機会がない。

さすがに1ヶ月も2ヶ月もいると、こういうものまで覚える。
1週間の仕事ではそういう出会いのないことも多いけれど。

ここにはまた来たい、と思ったものだけれど、用事がないとなかなか行かないものである・・・・・・

ランチの楽しみ ~中編~

わたしはランチはなるべく外で食べたい派だ。
ずっと同じ場所にいると息が詰まるから。

お昼くらいは違う環境で一息つきたい。

でもこの仕事は1ヶ月と長かったし、実は延長になって結局2ヶ月いた。
なので後半は中で食べることが増えた。

休憩室でよく『人妻』さんと食べた。
中で食べるときは、どこかで何かを買ってくる。
そんなに遠くまで買いに行っていると面倒なので、たいていは同じビルの1,2階にある店で。
ときにはすぐ近くの店で。

お気に入りは、有名寿司店二号店の持ち帰り。
量はそれほど多くなくて女性向きで、ネタはとてもおいしかった。
または、その隣の中華弁当のお店。
値段が安いのがなんといってもよかった。

ちょっとした洒落た軽食を出す店もあったが、そこの持ち帰りは好きではなかった。
高かった。

「お昼くらいは別の場所で一息」と思うのは、やはり見知らぬ職場で緊張しているせいもある。
何週間も働いて慣れてくれば、中で食べるのもまた楽しい。
お喋りをしながらのんびり食べることができる。

休憩室は女性ばかりが三々五々グループになって食べていた。
狭い場所なので、それほど多くの人が中組だったわけではない。

昼時、休憩室に流れる空気は、なんだかOLっぽく思えて楽しかった・・・・・・

お昼休みの散歩

昼休みに食事に行ったところによっては、時間がとても余ってしまう。
回転率の高いどんぶりチェーン店などでは、食べ終わったらすぐ出なくてはならないし。

単発で出かけたときは、辺りを歩いてみることが多い。
特に見どころはなくても、あまり詳しくない街は楽しい。

会社を出て、そのまま正面に向かって大きな通りを進んで行くと、大きな教会があった。
割と有名な教会で、クリスマス時期にイベントをしている記事が雑誌などにも出ていた。
中に入ったわけではないけど、外から見ているだけでも大きい教会は見ごたえがある。

会社を出て、左のほうに進んで行くと、おいしい冷やし担担麺のお店がある。
この通りにはいくつか店が並んでいたり、小さい会社が入っているビルがあったりする。
でもこの通りではなくて、その1本裏の細い通りに入ると、急に静かになる。

この静かな細い通りの中ほどに、たくさんの石像が並んだお寺がある。
お地蔵さま(と言うのだろうか?)が、ずらりと何段にもなって並んでいるのだ。
少し大きめの行者像や、さらに大きめの大仏像、弥勒菩薩、いろいろある。
すぐそこは大通りなのに、意外と静かで心落ち着くお寺だった。

会社を出て、右のほうにずっとずっと進んで行くと、大きな公園がある。
遊具があるような子供向けの公園ではなくて、ニューヨークのセントラルパークみたいな趣旨の公園。
もちろん東京のはどれもあんなに大きくないけど。

この公園に入るには入場料(500円以下)を払うので、昼休みに入ったことはない。
中を回るには半日くらいかかりそうだ。
一度行ってみたいと思っていた公園だったので、「ここにあるのか~」と思った。
よし、これで場所は覚えたぞ、と思ったのに、その後行ってみていない。

お昼休みの散策は、わたしにとって単発の醍醐味かな・・・・・・

誰かとランチ

おいしい冷やし担担麺は、長期派遣の人たちに教えてもらった。
会社のビルを出て、どこへ食べに行こうか迷っていたら、長期派遣の人たち3人が出かけるところだった。
紅村さんと緑山さんと灰田さん。

どこに行こうか迷っている、と言うと、誘ってくれた。
「とっても辛いけど、おいしい冷やし担担麺がある店に行くから、もし辛いのが平気だったら」
激辛が大好き、というわけではないけれど、苦手でもないのでついていった。

おいしかった。
あの冷やし担担麺はもう一度食べたい。
でも店はまだあるのだろうか?

吉野家やてんやもときどき食べた。
一人のときはやっぱり楽だ。
ゆっくりできないのが残念なところだけど。

吉野家に入ろうとしたら、単発派遣仲間の『黒髪』さんもちょうど入るところで、なんとなく一緒に食べた。
でも『黒髪』さんは一人でお昼を食べるのが好きみたいだったので、「じゃ、また一緒に食べましょ」ということにはならなかった。
食べ終わった後で、女の子同士だとそのまま流れで一緒に帰ったりするが、それぞれ別れた。

一緒に行って一緒にランチする、ということのあまりない職場だったな・・・・・・

ランチの楽しみ ~外編~

街にはそれぞれの性格があり、それは東京も同じだったりする。
「銀座」と言われるのと「新宿」と言われるのでは、イメージが違う。
「吉祥寺」「下北沢」みたいな土地は、若者が多い、演劇やバンドをやってる人が多い、みたいなイメージがわたしにはある。
「青山」「広尾」と言われると、高級な住宅街があり、お洒落な店があり、セレブたちが住むイメージがある。
同じお洒落な人たちが住むところでも、「自由が丘」「祐天寺」なんて言われると、もう少し親しみがある感じ。

今回の職場は、都心のある駅のすぐそばにある。
これまであまり使ったことのない駅だ。
わたしの勝手なイメージでは、新宿や池袋より上品で洗練された感じ。
そして六本木などよりは落ち着いた感じ。

特にランチの店が多いような土地柄でもなかったので、1ヶ月は長かった。
あるにはあっても、いつも混んでいて入れない店もある。
あまり高そうな店は敬遠してしまう。

だからファーストフードや、どんぶりチェーン店に入ることも多かった。
でもときには勇気を出していろいろなお店に入ってみることもある。

駅ビルの中のタイ料理屋さんは、毎日食べるには高かったけれど、おいしかった。
辛い冷やし担担麺がおいしいラーメン屋さんもあった。
有名なお寿司屋さんの二号店がすぐ近くにあって、回転式だったので気軽に食べられた。

知らない土地に行くと、いろいろなランチを食べられるのも魅力・・・・・・

『人妻』さんの真実

単発派遣仲間、『人妻』さん。

意外と人気の『人妻』さんなのである。
ちょっと清楚、ちょっと上品、ちょっとおとぼけ、ちょっとトロそう。
超美人、ということもない。不美人、ということもない。

こういう人こそ男性の心を惹きつけるのかなぁ、と思わされた。
(長期派遣チームの黄島さんと灰田さんが、興味あると勢い込んで言っていたからだ)。
「実は話してみると、面白いことを言い出したりしそうじゃない?」

そんなすごい裏話などは特になかったけれど、皆が想像しているよりしっかりした人だったと思う。

彼女は結婚してもう3年以上経つので、新婚時代は終わっている。
そろそろ子供を作ろう、と決めて、妊娠や不妊の専門医にも相談していた。
(不妊でなくても今の時代は相談する。そして効率よく産む人が多いらしいと分かった)。

話を聞いていると、家族や親戚の関係の問題にも冷静、論理的に対処していた。

辞める前に、彼女は長期派遣チームの青川さんに呼ばれて二人で話をしに行った。
仕事の話かと思ったら、彼がやっている新規ビジネス(ねずみ講チック?)に誘われたのだそうだ。
そういう話もしやすそうな、おとなしい女性に見えるけれど、実は案外しっかり者だ。

単発の仕事もいくつもしているので、経験も豊富だった。
「どうしても見つからないので、明日からお願いします、と頼みこまれて1週間の仕事に行ったりした」と言っていた。
「今日から、というのもあったのよ。本当に見つからなかったらしくて、派遣会社の営業の人が働くことになって、2人で行ったの」

派遣会社の人も、この人なら頼み込めば来てくれる、とあてにしているあたり、やっぱり似たような目で見ているのだろうな・・・・・・
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