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ランチのときに・・・

そういえば、この同じ××駅を降りたどこかで、友達の一人が働いていた、と思いだした。

一度ランチのときに会社の近くまで行ってみようと思った。
最初のときは探し出せず、断念して駅の近くでお昼を食べて帰った。

でもこの会社に来ているうちに、と思い、もう一度行ってみた。

彼女の会社は、同じ駅を降りるけれど、全く逆の方向に歩いたところにあった。
前に聞いた目印をもとに、ようやく見当がつき、探し当てることができた。

電話してみると、ちょっとだけ下に降りてきてくれた。

当時彼女が働いていた会社は、お昼は45分休憩だった。
わたしにとっては短く感じるが、彼女は慣れるものだと言っていた。

彼女の会社の近くには、桜の名所がある。
45分の休憩でも、桜の季節にはそこに行ってみるという話も聞いたことがあった。

彼女が会社から出てくると、なんだか違う人みたいだった。
何度も会っているけど、制服姿は見たことがなかったからだ。

少し話しながら、桜の名所まで行ってみた。
3月の終わり頃――早い年なら咲くかもしれないが、そのときは咲いていなかった。

わたしが働いていた会社とは全く方向が違ったので、ちょっと話して戻るのが精いっぱいの時間だった。
でもいい思い出だ・・・・・・
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ランチ

この職場、駅からは少し歩くので、駅前のいろいろなお店まで行くのは少し遠い。
ランチをどこで食べるかというのは、悩みの種だった。

大きな通りまで出て、長い横断歩道を渡ると、コーヒーチェーンがある。
二週間の間に、一番利用したのはこの店だった。

本当は、ちょっと高いと思っているので、毎日利用したい店ではない。

洒落たなんとかサンドとコーヒーで600円するようなお店は、わたしのランチには向かない。
なんとかサンドだけではお腹がすいてしまう、残業の多い仕事には特に向かない。

このコーヒーチェーンは、喫煙席が隔離されている。
ガラスドアの仕切りの中に、喫煙席があるのだ。
しかし、都心のこととて店内は狭いので、喫煙席近くの禁煙席に座っていると、人の出入りのたびにものすごい煙。

ある日、隣の席で、男性と女性がコーヒーを飲んでいた。
恋人とか友達というのではなく、職場の人みたい。
「自分もなんとか××さんを残したいと思って、上に相談もしてみたんだけど――」
――え、そういう話?
「会社もキツイらしくてね。契約更新は難しくて――、・・・・・・××さんにはいてもらいたいんだけど、ホント」

まあ、こうしてちゃんと事情を話してくれるんだから、本当に買ってくれていたのかもね。
派遣のようだったから、派遣会社に「次の更新はなしで」と言えば済む話だものね。
と、考えながら、話の邪魔にならないように、気配を消していた。

このコーヒーチェーンの前の横断歩道を渡る前、曲がり角にある小さな公園でランチを食べている人もいた。
コンビニおにぎりやパンなどを持参して、ベンチに座って食べている。
子供がたくさんいるような土地柄でもないので、公園といってもあるのは地面といくつかのベンチだけ。

だから食べやすそうだった。
でも大通りのすぐ隣なので、空気は悪そうだと思った。

一度、Bさんが一番好きなファーストフードは××だと言うので、駅前までてくてく歩いたことがある。
高いけど、確かにおいしい。

本当に。仕事が絡んでなければ、Bさんも好きなんだけどな・・・・・・

疲労感

昨日の記事は長くなってしまった。
作業を説明すると、どうしても短く終われなかった。

実際の作業も、どうしても早くは終われず、残業が多かった。

「残業の可能性あり」ということだったが、本当にあった。
時間通りに帰れたことはなかった。
1時間半の残業で帰れるか3時間残業しても帰れないのか、そういう意味での時計との競争だった。

しかし残業があって疲れたとしても、それは体の疲れ。
体の疲れは寝れば治るし、ひと晩で治らなくても、土日休めばだいぶ回復する。

「今日も頑張った! 終わらせた!」という達成感だけでも、結構回復するものだ。

しかし、やり方の違いによる心の疲れは、ストレスとなって蓄積する。
これはひと晩経っても、土日が入っても、治らない。

ただもう「あと何日だから、あと何日だから」と呪文のように唱えて、耐えるしかない。
今回全然効かない呪文なのだが、他に方法もないのでそれだけが救い。
「長期でなくて良かった」と付け加える。

Bさんの人柄や、いつも話している話題などが嫌いなわけではない。
きっと友達として出会ったら、うまくいったのかもしれない。

それなのに、こんなふうにストレスになってしまう。
仕事を一緒にするって怖いことだ、といつも思うゆえんである・・・・・・

それぞれのやり方

申込書の入った封筒は、まず開封する。
ただ封の部分を切り開くだけ。中身は出さない。どんどん切り開いていく。

ある程度開けたら、中の書類を出してクリアファイルに入れる。
1封筒1クリアファイル。1つの封筒に入っていたものは全部、1つのクリアファイルに入れる。
他の封筒の中身と混ぜることもなく、1つの封筒の中身を複数のファイルに入れることもなく、あくまでも1封筒1クリアファイル。
どんどん入れていく。

それからクリアファイルを地区ごとに仕分けして、山と積んでいく。

これをわたしは一人でやっているが、遅くても午後3時前にはBさんが手伝いに来てくれる。
そこからは二人でどんどん開封、クリアファイル、地区ごとに仕分けを繰り返していく。

わたしとしては、これが全部終わってからナンバリングをするほうがいいと思うのだが、Bさんはしばらくすると言う。
「じゃ、後の開封はBさんがするから、○○さん(わたしのこと)はナンバリングを始めちゃってください」

なぜ全部終わってからやるほうがいいと思うかというと、この状態では1から順番にナンバーを振れないからだ。

何かの理由で、実際の処理作業(ここは廃棄物を処理する会社)は、官公庁優先と決まっていた。
ナンバリングの早い番号順にデータ入力され、処理作業も行われていくので、官公庁は一番最初にナンバリングする。
クリアファイルに入れて地区ごとの山に置く時点で、官公庁の分はよけてある。

開封が終わっていれば、まず官公庁をナンバリングして、そのまま一般の会社をナンバリングすればいい。

しかしまだ終わっていないので、まだ官公庁が出てくるかもしれない。
「まず官公庁をナンバリングして。北海道の官公庁はいくつで終わった? 27?
まだ出てくるかもしれないから、20くらい余裕を見て、51番から一般の会社のナンバリングをして」
わたしが手に持っているナンバリング機の番号は、今28。
小さな棒でこれを51に変更して、一般の会社をナンバリング。

この手順を10の地区ごとに繰り返し、終わった頃にはBさんが開封したものがまたたまっている。
で、北海道地区の最後の番号を確認して、小さな棒でナンバリング機の番号をその次の番号に変更して、またナンバリング。

最終的に全部が終わりに近づくと、間が抜けていたり足りなくなっていることに気づく。
つまり、北海道地区は27まで官公庁、その後20の余裕を持って51番から一般企業にしたわけだ。
しかしBさんの開封作業が終わってみると、北海道地区の官公庁は10増えて37、38~50まで空き番になってしまった。
じゃあ、ということで、後から開封した一般企業の中から13個をこの番号のところに入れる。
そのためにまたナンバリング機の番号を小さな棒で変更して・・・・・・ガチャン、ガチャン、ガチャン。

逆もある。
27まで官公庁、その後51から一般企業にしたが、終わってみたら官公庁がまだたくさんあって、63まで官公庁になってしまった。
とすると、51~63は重複してしまう。
ボールペンで二重線を書いて番号を消し、改めてこれらの13枚を一般企業の一番後ろに入れて、ナンバリング。

Bさんは「大丈夫、Bさんの頭の中では全部分かってる」と言うが、わたしの頭の中は混乱している。
だから気づくと空き番があったり、重複があったり。
どんなに気をつけてもミスが出やすく、どこがどう間違っているのか確認する作業で、更に時間が遅くなる。

二人以上でやる場合は多少効率が悪くても、地道にやってほしい。
結局はそのほうが時間がかからないんじゃないかな、と、思ったものである。

とても多かったある日、OL風の人が「ナンバリング手伝うよ」と言って手伝ってくれた。
「これは何番までナンバリングしてあるので、何番からで、これはここの間に差し込んで、これはこの後ろで」
説明するほうが時間がかかってしまう。

「なんか難しい方法でやってるんだね。頭良すぎる方法で、私には分からないわ・・・・・・」
わたしにも分からないんですよ・・・・・・

Bさん

さて。
わたしの居場所&作業場所には、4人の人たちがいた。
その人たちとは別に、午後になるとやってくる人がいた。

Bさんである。

Bさんは他の部署で仕事をしている派遣さんだ。
でもわたしたちと派遣会社は違う。
あまり聞いたことのない名前の会社だったので、新興の中小企業だと思う。

Bさんはわたしの開封作業を手伝いに来てくれる。

作業が激化する午後の2時半くらいから来ることになっている。
初日、わたしに引継ぎをした前のAさんがいた日から、Bさんは来ていた。
「明日からも毎日Bさんは来るから、大丈夫よ、任せて!」とBさんはわたしに言った。

Bさんはずっとこの作業を手伝っていたそうなので、わたしは主導権をBさんに委ねた。
Bさんもそのつもりだった。

でもちょっとやり方が、わたしには合わなかった。

わたしは、ちょっとくらいやり方が効率悪く感じたって、単発だったら気にならないと思っていた。
このときまでは。

「でもどうせ二週間だし」とか「でもあと十日我慢すればどうせ終わりだし」という魔法の言葉を唱えれば、ストレスもたまらない。
そこが単発のいいところだ、と思っていた。

だが、今回ばかりはいくら魔法の言葉を唱えても、日々が苦痛で仕方なかった・・・・・・

私が働いていた場所

私が作業をしていたテーブルは、広いオフィスの奥に位置する、なんとなく別室ムードのところだった。
でも仕切りやドアがあったわけではないので、別室ではない。

その奥の作業場みたいな場所は、ちょっと隔離されたムードが漂っていて、落ち着く。
壁にはキャビネットがぎっしり。
小さなデスクの島があるが、普通の島より小さめ。
それは、島の残り半分はデスクではなくて、作業テーブルになっているからだ。

その作業テーブルが、開封作業をする場所である。

デスクの部分には、4人の人がいる。

OL風の人が2人。向かい合わせに座っている。
この人たちは、わたしと同じ派遣会社から来ている。
わたしより長期の契約。どのくらいか具体的には知らないが。
でも今月いっぱいで終了なのだそうだ。

もう2人、向かい合わせで座っている人たち。
OL風のオフィスカジュアルよりは、もう少しくだけた服装をしている。
この人たちもたぶん、同じ派遣会社。
わたしよりはずっと長いが、OL風の人たちよりは短いみたい。
そしてやっぱり今月いっぱい。

一応、わたしにもデスクがあるのだ。
パソコンなんかはないけど。
というのも、私物の入ったバッグは、デスクの引き出しにしまうからだ。
デスクがないと困る。

午前中、まだ郵便の来ないとき、封入などの作業を渡されたら、この席でやっていた。
始業までの何もすることがない時間は、この席に座ってぼーっとしていた・・・・・・

郵便が来たら・・・

郵便が来たらいよいよ本業、開封作業をする。

郵便はとても多いので、配達の方もカートにダンボール箱を乗せて持ってくる。
ダンボールごと置いて帰り、こちらは空のダンボール箱を渡す。
どうやら一日交代でダンボール箱がいったりきたりしているらしい。

作業用に広いテーブルが用意されている。
そこにダンボールをずるずる引っ張っていく。

ガサッと取り出し、カッターで封を切っていく。
普通の大きさの返信用封筒が送られているので、それで送ってくれれば同じ大きさ。
会社のロゴ入りの封筒で送ってくれた場合は、ちょっと違うかも。
中には、書類を折り曲げないようにと、わざわざA4封筒で送ってくれるところもある。

さて、このテーブルの足元には、大量のクリアファイルの入ったダンボール箱が置かれている。

封筒から取り出した申込書類は、しわを伸ばして、1件ごとにクリアファイルに入れる。
開封、開封、開封・・・・・・、ある程度開封したら、取り出してクリアファイル、取り出してクリアファイル・・・・・。

クリアファイルは地区ごとに分けて、積み重ねていく。
北海道、東北、関東、甲信越、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄、というあれだ。
作業テーブルのすぐ隣が窓で、窓は出窓状態の広い物置き場がついている。
そこに10個のクリアファイルの山ができていく。

全部開封して、クリアファイルに入れ、地区ごとに分けたら、ナンバリングをする。
北海道は北海道で、00001番から順番にナンバリング。
東北は東北で、00001番から順番にナンバリング。
・・・・・・という具合で、地区ごとに通し番号が振られる。

最後は通し番号の最後の数字を、Excel表に入力する。
北海道の今日の欄に、100。東北の今日の欄に、111。関東の今日の欄に、122。・・・・・・というように。

そして申込書は、地区ごとに番号順になっているのを崩さないように、別室に運んでいく。
この部屋でデータとして入力されるのだ。

そういえば、わたしに引き継ぎをした前任者は、データ入力と聞いていたのに開封作業で納得できないと、途中で辞めたのだった。
この部屋で働けたのだったら、わたしの前任者の人も文句はなかったんだろうな、と思った・・・・・・

することのない午前

いよいよ今日から一人で勤務。
でも量が多い火曜日なので、なかなか郵便は来ない。

わたしは前の人(データ入力と聞いていたのに開封ばっかりと言って辞めた)と違って、軽作業も割と好き。
もくもくとゴールに向かって作業していく楽しさよ――
やる気まんまんで待っているけれど、郵便はなかなか来ない。

「郵便が来るまで何をしていたらいいですか?」

その場にいる人たち(4人いた)に聞く。
「そうねぇ・・・・・・じゃあ・・・・・・」

これが毎日続いた。

その日に届いた申込書は、その日のうちに開封、整理。
なので、翌日は郵便が届くまですることがない。

郵便は意外と早く――勤務開始30分くらいで来ることもあったし、遅く――2時間くらいしてから来ることもあった。

わたしは毎日、適当な半端仕事をした。
「じゃあ、そのダンボールを日付順に並べて」
「じゃあ、このビジネスレターを封筒に入れて、封してください」
「じゃあ、今日も手紙を封筒に入れて、封をしてください」
「じゃあ、今日は、この表に住所と会社名を入力してもらえます?」

別に何をやってもいいんだけど、わたしは仕事を途中で放り出すのがあまり好きじゃない。
郵便が来たら、途中であっても止めなければならないのが、なんとなく気持ち悪かった・・・・・・

引継ぎ

この人が今日で辞めます、あなたはこの人の代わりに入ります、この人が今日引継ぎをしてくれます。
と紹介されたAさん。

まずはひととおり、作業の流れを説明してくれる。
「封筒が来たら開封するんだけど、まだ今日は郵便が来てないから」
――なるほど。郵便配達が来てから、本格的に作業開始なのね。
「郵便はだいたいもっと早く来るんだけど、数が多い日とかは遅くなるんだよね」
――え、じゃあ、作業が多い日に限って開始も遅くなる、って寸法?
「来ないときは、他の人の仕事を手伝ったりしていて、郵便が来たら封筒優先」
――それはそうだ。きっと今日の分が終わらないと帰れない仕組みでしょ?
「今日来た郵便は今日中に開封して、ナンバリング。最後に枚数をExcel表に入力して終わり」
――やっぱりね。

郵便が届いたので、彼女と二人で開封を始めた。
「今日は月曜だからそんなに多くない。一番多いのは、火曜日」
――そうだろう。土日分までまとまったものが、月曜に仕分けされて、火曜に配達されるから。

「ねぇ、この仕事、なんていう募集だった?」
開封しながら彼女が聞いてくる。
「開封作業です」
「あたしのときはデータ入力ってなってたんだよねー」
「そうだったんですか」
「あたし、データ入力がすごく好きなの。だから応募したのに、毎日毎日封筒を開ける仕事しかなくてさー。
データ入力なんか、一回もなかったんだよ。だから、話が違うって××(派遣会社の名前)に言ったの」
「へ、へぇ」
――わたしは小心者なので、大胆な人にはいつも驚いてしまうのである。

「それで本当は一ヶ月の仕事だったんだけど、二週間で辞めますって言ったんだー。だって話が違うんだもの」

なるほど。だからわたしが呼ばれたのか・・・・・・

当日、営業さんと

××駅、徒歩10分、という仕事。
××駅というと、大人の駅のイメージ。
大人の男性がよく飲むような駅に近くて、大人の男性がランチをするような渋い店がある。

――単なる勝手なイメージである。

さて、その駅の○番出口を出たところで待ち合わせ、と言われている。
特に目印を持っていたりもしないが、なんとなく人を探しているような様子でお互いに分かるものだ。

「○○さんですか?」と話しかけてくる女性。
「そうです。どうぞよろしくお願いいたします」とわたし。

こちらになるんです、と営業さんが歩き出す。
わたしは道順を覚えようと一生懸命。
道を覚えるのって、苦手なのだ。
でも明日からは自分ひとりでこの道を行くことになる。

この喫茶店を曲がるんですね。はい、後はしばらくまっすぐです。
で、この小さな公園のところで、裏道に入っていく、と。曲がって、曲がって、「あの建物です」。

そうして歩いている間に、営業さんは必要事項を説明してくれる。
「今日は前からいた方が引継ぎをしてくださいます。
明日からはお一人で作業を進めていただくことになります」

「こちらの会社では、廃棄物の処理などを受け付けています。
国も奨励しているものだそうですが、奨励のために今年度中に受け付けたものは割引のような特典があるそうです。
そのため、今月中、特に月末にかけては申込が殺到すると予想されるらしいんです」

なるほど、それで残業の可能性があるわけね。
これは、一応そう書いておいた、ということじゃなくて、本当に残業ありそう・・・・・・

オファー

3月、年度末。
わたしは仕事を探していた。

メインで働いている職場は年度末は仕事がなかった。
なんとかして3月を単発仕事で埋めないと、翌月の収入が無い。

そうして探しているところに、登録している派遣会社のメールマガジンで二週間の仕事が見つかった。
即座に返信、応募する。
こういうのは、早いもの勝ち。
連絡が遅れると「申し訳ありません。既に決まってしまいまして――」と言われてしまう。

二週間、封筒開封作業、7時間勤務、残業の可能性あり。××駅徒歩10分。

封筒開封作業?――封入作業というのはよく聞くけれど。どっちにしても手が荒れそう。
徒歩10分?――10分て書いてあるということは、10分以上かかるってことだよね。
残業 ――残業は万が一にもする可能性があるときは「可能性あり」ってしておくから、実際はないことも多い。

でもとにかく期間さえ合えば、よし。
何か仕事をしないと生活に支障をきたす。

応募してみたところ、コーディネーターから返事が来て、仕事ができることになった。
良かった・・・・・・

File11開始

2年目

11:封筒開封 特殊会社

10日間

やはり土日の申込は多く、それが処理されてめぐってくるのが火曜日なので、火曜日は残業必至だった。
少ない日は頑張れば定時に終わることができた。

長期いる人たちは、終わるまで帰れないが、わたしたち臨時雇いは帰っていいと言われる。
でも、一日二日もすると連帯意識ができあがるので、「じゃあお先に」とは言えなくなる。
そして、「できるだけ定時に終わらせよう」と、スーツケースが届いた瞬間から気合を入れるようになる。

カード事業とはいえ、自分たちのしているのは体力仕事に偏ったもの。
なので、一日の終わりにはそれなりに「やったー!」という達成感を感じる。

そして毎日、小部屋から見える果てしない都心の地平は新鮮だった。
子会社は20階を超えた階にあり、眺めが良かった。
作業する小部屋の窓から都内の風景を見渡せる。
トイレの窓からは違う方向を見渡せる。
――1ヶ月も働けば慣れてしまうのかもしれないけど。

3週間の仕事を終えて、次の仕事に移るまでの10日ほどの間、楽しく仕事をすることができた。

数日空いてしまったから何でもいいから仕事をしたい、という人が入れ替わり立ち替わりやってくる職場だ。
わたしも10日の間にそういう人に3人くらい出会った。

長期的に働いている人たちも、本当は「いい仕事が見つかるまで」という気持ちで働いている。
長期の人のうち1人は、希望の仕事が見つかり、顔合わせもうまくいき、去って行った。
2人は辞めることにしているようだった。
この仕事をしている限り、ついこれでいいと思ってしまうからだそうだ。

リーダー格だった人は、自分のスキルに自信がなく、辞めても仕事があるかどうか危ぶんでいた。
その気持ちはわたしも分かる。

そしてわたしも終わりの日が来て、高層ビルの楽しみを後にした。

午後の仕事

小部屋に着くと、11時から来る予定の人が待っている。
わたしも、朝からでないときは、ここで待っている。

印字が遅くなった日は、出勤しても仕事がないので、他のまったく関係のない仕事を手伝っている。
スーツケースが届いたら、作業開始!となる。
そして、終わるまでは帰れない。

印字された大きな紙は、事務用紙によくあるが、右側に穴が開いている。
このミミの部分をミシン線に沿って切り取る。
分厚い束なので、定規をあてて少しずつ切る。

それから1枚1枚に切りはなす。
これもミシン線を切る。順番は間違えてはいけない。
本申込用紙の順番と合っているはずだからだ。

切り取った用紙は、該当の本申込用紙とともにホチキスで綴じていく。
違うものを綴じないように確認しながら。

綴じ終わったら確認だ。
「三点確認」。名前、住所、顔写真が確認できるもので、本人確認しているかどうか。
免許証ならいいけれど、健康保険証ではダメなのだ。写真がないから。

パスポートも不可。住所がないから。
学生証は、国公立大のものは可だが、私立大のものは不可。
と決まりごとがあって、それに従って、未確認のものをよけていく。

それから、ランク確認。
電算用紙にはランクが記載されている。
カード発行不可のランクの人はよけていく。
カードによって不可のランクは違うらしい。

たとえば「あいうえお」という基準があったとして、●●カードは「ランク お」の人は入会不可。
しかし高級な◎◎カードは「ランク あ」と「ランク い」のみ可。「う」も「え」も「お」も不可。

このランクはどのように決められているのか知らないけど、収入や職種や債務状況によるのかな?

仕分けが終われば、あとは種類ごとに可・不可を束ねれば、終わりだ。

とても整然とした簡単な作業のように聞こえるが、やるとなると整然とはいかない。
あるはずの申込用紙がなかったり、こんなの電算用紙にはないぞ、というようなのが混じっていたり。
全部をきちんと整理するのは大変だ。

多い日は何百枚もあったりする・・・・・・

午前の仕事

朝から行くと、まず皆で揃って本社のカード事業部のある部屋へ行く。
そこで過去の申込書の整理をして待っている。
何を待つ? 本日の分の印字が終わるのを。

申込書の整理はいくらでもある。
だってすごく大量だから。
日付だの種類だの、決まったルールに従って仕分けてファイルしていく。
他の雑用を言いつけられることもある。

やがて、印字が終わる。
これはその日の量や、または前段階の作業の進捗によって、渡される時間が若干変わる。
11時のこともあれば、14時くらいになることもある。
その間にお昼の時間が来れば、交替で休憩に行く。

印字された紙は、大きい電算用紙のようなもの。
それは、カード種類ごとに切り分けられ、本申込用紙の束と一緒にくくられる。
本申込用紙も種類ごとになっているのだ。

これらは機密書類なわけだから、慎重に取り扱わねばならない。
大きなスーツケースが取り出され、その中にしまうと、鍵を何重にもかける。

そしてガラガラと引いていく。
子会社は道を隔てた向こう側にあるからだ。
ガラガラガラ、ガラガラガラ、スーツケースを引いて門を出て、横断歩道を渡り、向かいのビルの中にある子会社までエレベーターで昇る。

到着すると、たいていは午後シフトの人がもう来ていて、適当な雑用をさせられながら待っている・・・・・・

下請け雑用作業

大手企業のカード事業部の下請け仕事。
この企業はカード事業がメインではない。
でも、例えば百貨店だって、鉄道会社だって、レンタルビデオショップだって、クレジット機能付きカードを発行している。

カードを発行するためには、細かい手続きがたくさんある。
従って、それに伴う雑用もたくさんある。
その仕事を子会社がやっていた。

ちなみに子会社も本業はそれではない。

カードの申し込みは大量にあり、かき集められた人材が雑用をしていた。
本当にかき集める感じで、長期の人たちが何人かいて、それ以外に2人くらいの追加が適当に集められていた。
できる限りの日数でいい、ということで。

わたしも10日ほどの期間だった。
時給は安い。
また朝から行く日と11時から行く日があって、終わりは一緒なので、11時出勤が多いと給料が減る。

なぜカード加入の申し込みが多いのかは、知らない。
キャンペーンでもやっているのか、人気のカードなのか――。

実際のカード事業部では、カウンターが受け付けた書類をまとめたり、審査したり、カードを発行したりしている。
わたしたちは、雑用部分を受け持っていた。

作業場所は基本的に子会社の小部屋。
やっている内容は本当に雑用的。
紙を切ったり、指サックをして申込書のチェックをしながらめくったり。

でも覚えることが多くて大変、ということがなくていい・・・・・・

File10開始

2年目

10:軽作業 カード事業関係

「単発」という選択

この仕事に来て、わたしは派遣の単発の仕事に主婦が多いことを実感した。

扶養範囲内で働く主婦。
ぎりぎりになったら、それ以上の仕事に応募しなければいいので、調整しやすい。
給料明細をとっておいて、合計して「あ、やばいわ、扶養範囲から出ちゃうわ」となったら、仕事の依頼が来ても受けない。

また、パートをするより時給が高いので、効率がいい。
パートを2週間するところを、派遣単発1週間の仕事に応募すれば済むのだから。

それに常雇いで働いていると、扶養範囲におさめるのが難しい場合もある。
12月くらいになって「すみません、超えそうなのでお休みしたいです」と言うことはなかなかできない。
「え~、この忙しい時期に言われても」となってしまう。
それを避けるために、できるだけ前もって調整を考えておく必要があるけれど、突発的なことはある。
残業が思ったより多かった、となると、やっぱり12月頃「すみません」となるかもしれない。
それを避けるために少なめにしておくと、収入が減ってしまい、「こんなことならあと10万円分働けたわ」と思うかもしれない。

そういったことで、「扶養範囲内で働きたいから単発」という選択肢もあるのだと思った。

ここに来ている人たちの多くが、「時給がいいから○○派遣会社しかやらない」と言っていた。
そりゃ、そうだ。
お金を稼ぐことに必死なわけではないのだから、「仕事がないよりは~」なんてないのだ。

単発派遣にかなり慣れている人もいて、それはいい面と悪い面があるな、と思った。
でも、自分も今、単発慣れしているかもしれない。

虎ノ門までわざわざ行って、ただひたすら紙をめくる。
――そこがかなり気に入っていた仕事だが、1週間が終わった。

これ以上紙めくりをするのは疲れるだろうから、ちょうどいい長さの仕事だったと思った。

派遣の仕事、単発の仕事 3

1週間の仕事、人数は10人以上いた。
作業は単純だけれど量が多く、終わらないまま1週間が過ぎてしまったら社員さんは困るだろう。
だからといって、余分に派遣スタッフを頼んでおくのも経費がかかる。

たとえばスタッフが受け取る時給が1000だとして、派遣会社の取り分もあるから、派遣先が払う額は最低でも倍になるだろう。
――あ、いや、正確には分からないが、たぶん。

10人以上いてもぎりぎりの人数。
効率よく仕事を進めていかないと終わらない。

季節は冬。
2日目、マスクをしている若い女の子がいた。
3日目、その子は休んだ。

高熱だそうだ。たぶんもう後の日程は来ないだろう。

昼頃、派遣会社の営業がやってきた。スーツの男性だ。
(派遣スタッフはたいてい「営業が」と言う。「営業さんが」と言う人はあまりいない。)

「ここに来ている皆さんは出勤してきているわけですから、皆さんに言っても仕方ないんですが。
単発のお仕事の場合は特に、体調管理も仕事のうちですからね。
季節柄、風邪をひいたりする危険も多いと思いますけど、休むようなことにならないよう気をつけてくださいね」

結構きつく偉そうに言っていたので、営業よりももっと地位が上の人なのかもしれない。

わたしは学んだ。
単発の仕事は絶対に休んではならない。
また、派遣は会社に甘えられない分、自分でしっかりしなくてはいけない。

そしてたぶん――こんなふうに派遣会社から人が来てまで注意しているのは、派遣先に文句を言われたからだ。
さらに、たぶん――最初にこちらから社員さんにクレームを出したから、向こうも「要求だけしてそっちはこんな不始末なの!?」という気持ちがあったのだろう。

仕事は無事、最終日の終業15分前に終わった。
やはり長年この仕事をやってきている社員さんの読みは正しかった。

そして「作業は終わったので、これで終わりにしてください。
まだ10分前ですが、勤務時間は17時までつけてください」と言ってくれた。

いい人じゃないか・・・・・・

派遣の仕事、単発の仕事 2

1日目、仕事のやり方を説明されたとき、一日の流れも言われた。
「だいたい1時間ごとに休憩を5分とります。トイレなどはそのときに行ってください」
全員が流れの中で作業を行うので、各自が勝手にトイレに行くと効率が悪いからとのこと。

確かに、そうだったかも。
注意事項を言っているときに、たまたまトイレに行っている人がいたら、その人は間違ったやり方で続けるかもしれない。
次はこの作業をしてください、と言われたときに離席している人がいたら、その人にだけ別途また説明をしなくてはならない。
社員さんも必死でやっている状況だったので、効率よくやっていかないと終わらない。

ただ、この社員さんの「終わらない」というのは、社員さんの事情であって派遣は関係ない。
そう考える人もいる。
わたしたちは決められた時間、決められた仕事をして、給料をもらうだけ。
終わろうが終わるまいが、それはわたしたちの関知するところではない、と。
――それも一理ある。

で、2日目の朝、社員さんは言った。
「昨日、一番多い方で5冊、確認しています。一番少ない方は1冊でした。
ファイルによって薄い、厚いがあるので、同じ一冊でもかかる時間は確かに違います。
なので、必ずこれだけやれというようなことは申しませんが、期日も迫っていますので、最善を尽くしてください」

3日目、社員さんがちょっと赤い顔をして言った。
「トイレも自由に行かせないなんて、と思われたかもしれません。
トイレは行きたいときに行って結構です。でも一応1時間に5分の休憩もとります」

たまたま3日目のランチ、その日隣に座った人と一緒に行くことになった。
ランチを食べながら、彼女は言った。
「なんかさ、最低よね。何冊やれとか、ノルマみたいなこと言っちゃって。
多い人で5冊やったとか言ってさ」
――言わないけど、それ、わたし。単純作業には燃えるタイプ。
「1冊しかやってない人がいるとか嫌味っぽく言ってさ~。あれ、あたしのことなのよ」
――あなただったのか・・・・・・。でもたぶん1冊って人、他にいないと思うよ。
「派遣会社に電話して言ってやった。トイレも自由に行かせてくれないって。
今日謝ってたじゃない? いい気味よね」

わたしは学んだ。
派遣スタッフは不満を派遣会社に言えばいいのだ。
直接、上司に相談なんてしなくていいから、文句も言いやすい。
それが派遣のいいところなのだ――全部派遣会社を通すというのが。
(逆に、すべて派遣会社を通すので、派遣先が自分の時給を上げてくれたことも知らず、前の給料計算で支払われていた、という友人もいるが)

彼女はさらにこう言った。
「派遣会社が言ってきた会社までの道順の説明、分かりにくくなかった?
あたし、迷っちゃって、初日遅刻寸前だったわ」
――徒歩3分で?
そりゃ初めての土地だからわたしもキョロキョロしたけど、普通初日って余裕持って通勤しない?
「あの説明さ、○番出口って言うから分かりにくいのよ。×番出口からの方が分かりやすいわよね。
だからあたし、それも言ってやったの。あれじゃ分かんない、×番出口から説明した方がいいって」

つわものだわ・・・・・・

派遣の仕事、単発の仕事 1

言わずもがなのことだけど、最初に説明しておくと――
・派遣会社 = 派遣元
・わたしたち派遣スタッフが行って働いた会社 = 派遣先

派遣先にしてみれば、この大量の仕事を1週間で終わらせたいわけである。
だって派遣スタッフたちは1週間しか来ないわけだし・・・・・・。

ということで、効率よく仕事を仕切っていた。

1日目の開始前に、監督する社員の女性から、作業手順の説明があった。
「ここに置いてあるファイルを1冊ずつ持って行ってください。
これこれを確認してください。不備があったら付箋をつけてください。
これこれに関しては気にしなくていいですから、そのままにしておいてください」

「気にしなくていいです」と言われたことは、皆、気にしなかった。
けれど、以前にもこの仕事に来たという人たちが数人いて、彼女たちは気にしていた。
「前はここの違いも確認して付箋つけるように言われたわよね」
「そうだったわよねぇ。あたしは今回も一応つけてるけど」

でもそれは、派遣先にとっては非常に迷惑だったようだ。

付箋のついているところは社員が確認して、本当に問題だったら書類を送り返すことになる。
で、忙しい!大変!終わらせなきゃ!と必死で付箋部分を確認すると、問題ない。

しばらくして、再度説明があった。
「これこれに関しては気にしなくていいので、付箋はつけないでください」

わたしは学んだ。
派遣は指示に正確に従わなければならない。
派遣は自分で判断してはならない。
疑問があったら、その時点で確認するべきである。

派遣に限らず、これはビジネスルールとして新人が心掛けるべきことだ。
そして派遣はいつまで経っても「よそもの」、つまり新人同然なのだから、そういうふうにすべきだ。

だけど派遣に来ている人の中には若くない人も多々いる(自分もだけど)。
そういう人たちが新人的ルールを守るには、自己管理と意志が必要なのだ・・・・・・

で、仕事内容は

「都心に来たときはランチが楽しみよね」という人たち。
ファミレスのようなところで話している人たちの「セレブ」的会話。
大通には洒落たビル、そのほんの数メートル裏側には、静かな古い住宅街。

そんなふうに、あれこれ刺激的な街だったが、仕事のほうは非都会的だった。
別にパソコンを使うのが都会的というわけではないので、あくまでイメージの問題だけど。

ひたすらの紙、紙、紙。

全国から送られてくる書類をひたすらチェックする。
書類はまったく同じ形式。

「3ページ目のここに印鑑が押されているか、
5ページ目のこの場所に記載があるか、
5ページ目の末尾にサインがあるか」
を確認。

5枚セットの書類は、地区ごとにファイルに綴じられている。
そこで一冊のファイルを、指サックをつけてひたすらめくっていく。
「1…2…3、印鑑あり、4…5、記載あり、サインあり。1…2…3、印鑑あり、4…5、――」
もし、不備があれば付箋をつける。

めくって、めくって、めくって、一日が終わる。

今は一年に一度、全国から書類が送られてくる時期。
週の半分はめくって過ごした。

残りの半分は、全部書類が届いているかどうかチェック。
ファイルを地区ごとに分類してダンボールに入れる。
さらにそのダンボールを運んで並べる、という、軽作業をした。

どうも仕事は「虎ノ門」ぽくなかった・・・・・・

都心、それも山手線内

漠然と『都心』と言ってしまうけれど、こここそ本物の都心だ。
いわゆる『山の手』?

たとえば新宿も発展した地域だけれど、ここは『副都心』と言われていたように、はずれなのだ。
本物の都心は、環状 山手線の中にある。

「そんなこと分かってるよ!」と言われてしまいそうだが、分かってないことも多いのだ。

かつて、東京と境を接する県の、ちょっぴり奥地(という言い方をするのだ)の人に訊かれた。
「どこから通ってきてるの?」(そのときの勤務地は東京ではなく、その県にあった。)
「××の方です」
「えー、すごい、都心じゃなーい!」
「え、都心じゃないですよ、全然」
(だって、たとえば杉並区、練馬区、足立区、江東区なんかを都心て言わないもん。)
「え、都心だよ、23区内じゃん!」
「『区』ってついてるけど、端の方だし、他県(または都下)と接してるし」
「23区で都心じゃなかったら、うちなんてどうなっちゃうの!?」
地雷を踏んだ――怒ってる、と慌てたことがある。

でも、本当に都心じゃないのだ。
「都内」「23区内」「都心」これらは同じようで、全然違う。

だから都心で生まれ育った人は、「足立区って練馬区の近くでしょ?」なんてとんちんかんなことを言ったりする。
(そういう人を実際に見た。後にした仕事で、勤務地六本木、彼女の生まれと育ちも六本木だそうだ。)

とにかく、虎ノ門は本当の都心だ。
ランチは、やはり場所柄で、それなりの値段がかかる店ばかりだったけれど、食べ終わって辺りを散策のは楽しかった。

ビル、車、オフィス、その裏側の道にちょっと入ると、古い木造の家が並んでいたりして、面白い。
こんなふうに昔ながらの家々と超近代的ビルが混在しているのが都心だ。
(たぶん、建て替えるなどしようとすると、できないか税金が高いか、そういう土地なのだ。
だから古いまま住んでいる。)

お寺などもあるが、寺社仏閣は、美々しく真新しく建て直されていることが多い。
民家とは規制や法律が違うらしい。

変に見られるかもしれないとは思ったけれど、よく写真を撮った。
かっこいいビルの写真や、一本裏の通りの静かなたたずまい。

でも「静かなたたずまい」の方は、言われないと「都心」だなんて思わないような写真だ・・・・・・

虎ノ門ランチ

お昼はどこで食べるか?

最初の日に行ったレストランは、ファミレスの気軽さが感じられた。
しかし、椅子や天井やサラダバーなどが洒落ていて、そこいらのファミレスとは明らかに違う。

近くのテーブルに座っていた女性二人の会話が聞こえてくる。

「――アメリカンスクール」「ああ、そうなの」
「校風がいいのよね、やっぱり。自由っていうかね」
「英語は問題ないの?」「家では週に一回英語の日を決めて、英語しか喋らないようにしてたし」
「それいいね――」

・・・・・・へえ~! 最寄り駅を走る路線では聞いたことのない会話だわ。

2日目も同じレストランに行ったが、3日目にはコーヒーショップに行ってみた。

コーヒーを一杯、それからサンドイッチを一包み。
かっこいいサンドイッチだった。
かっこいいけど、コーヒー一杯とサンドイッチで800円していた。

なんというか、これも『さすが虎ノ門』の一環なのか?

もう一日コーヒーショップで食べてみたが、最後の日はラーメン屋に行った。
今回の仕事に来ている人たちの会話を聞いたからだ。

「あそこのラーメン屋がおいしいよね」
「あたし時々ここの仕事に来るんだけど、来た時は必ずあそこに行く」
「都心に来たときは、ランチが楽しみなんだよね」

せっかくなので、わたしも。

ラーメン屋は、たたずまいからして洒落ていた。
外に出ているメニューもお洒落。看板も個性的。扉も洒落ている。
入ってみると内装もデザイナーチック。

女性に人気というラーメンを頼む。
ラーメンは、小洒落た味でおいしかった。
けれど量は少なかった。
そして値段は高かった。

これが「虎ノ門」ってこと? ・・・・・・

六本木方面の仕事

1週間のお仕事。ファイリング。
とても楽しみな仕事。

だって、場所が六本木の近くだったのだ。
近くないのかもしれないけど、六本木駅を超えて1つ目の駅という通勤だった。

東京に住んで、いったい何年になるのやら。
でも六本木に行く機会も遊ぶ機会もほとんどないわたしだったのだ。ま、今だってそうだ。

行ってみると電柱に貼られた住所は「虎ノ門」。
もし六本木や青山や広尾によく行く人なら「帰りに色々寄れるじゃない、便利だわ」と思ったろう。
わたしの場合はそういう現実的なものではなかった。
「お~、都心で働くって感じね~」というファンタジーなものだった。

駅を降りると、なんだかお洒落なカフェがあった。
背の高いビルもあった。
職場の隣りのビル1階にはコンビニが入っていた。

でも、他で見たことのないコンビニ。
話題になりたての商品があれこれ揃っていた。変わった商品もあれこれ揃っていた。

わたしが気に入っていたのは、スコットランドのミネラルウォーター。
容器が独特のひねりの加わったもので、それに魅せられていた。
しかし高かった。約300円したので。

ああ、こんなコンビニがあるのも、『虎ノ門』だからなのかしら。などと、思っていた・・・・・・

File09開始

2年目

09:ファイリング 協会

現在

医療システムの知識があったら、何かの役に立つかも――。
そう思って、この仕事をやりたいと思った。

それが仕事につながっているかというと、それほどでもないと思う。

ただこの経験のおかげで、約2年後、医療システムのユーザーサポートの仕事につくことができた。
ほぼ同じシステムだった。
そのときは看護システムも同時にサポートした。
しかし、やることはほんの一部の機能だった。
その病院では、数度に分けて移行していたからだ。

その仕事も派遣単発のユーザーサポートで、2週間だけの仕事だった。

省庁のユーザーサポート、今回のA病院のユーザーサポート、そしてこの2年後の別の病院のユーザーサポート、それぞれにシステムを作った会社は違った。
どこも大手だった――名前を聞けば「ああ」と思うような。

こうして3つの会社のサポートをしてみると、会社の「色」ってあるんだな、と思う。

人のいいところや、ちょっと冷たく思えるところ、どことなく洗練されていない感じのところ。
どの仕事がどうだったとは、言わないでおこうと思うけれど、カラーを感じる。
だからわたしは、それらの会社の中では、ある会社が好きでいい印象を持っている。
その会社の人と合コンをする話などを若い人から聞くと、いいな、と思う。

まあ――知識のほうも、いつか何かの役に立つかもしれない。

終わりの日に

終わりの日、終了前のミーティングに、派遣会社の部長がやってきた。
正確に言うと終わりの日ではない。
全員が集まる最後の日だ。

本当の最後の最後は、浮動で見まわる人もいなくなり、各部署1人ずつ。
さらには三ヶ所で2人、最後はチームリーダーの『男性』さん1人、となる。

「皆さん、ご苦労さまでした。本当によくやってくださったと感謝しています。
また機会がありましたら、当社のお仕事にご協力いただきますよう、お願いいたします」

部長さんは当たりが柔らかな、外交上手といった感じの人で、過分に褒めてくれた。
しかしわたしたちの心の中には、「よくやったのは自分たちだけ、『男性』さんは違う」という気持ちがぬぐえずにある。
しかし、『男性』さん本人のいる前で、さすがにそんなことを言える人はいない。

「まだ勤務が残っている方もいらっしゃいますが、全員集まるのは今日で最後です。
とりあえずご挨拶をさせていただきます。皆さん、本当にお疲れさまでした」

これにて解散となり、女性たちはロッカールーム(更衣室)へ。
男性さんと部長さんは、なんとなく話をしたりしていた。

しかし心収まらぬ女性たち、ロッカールームで荷物を準備している間も納得がいかない。
「このまま終わっちゃっていいの?」
「彼が全然仕事してないの、把握しておくべきだよね」

更衣室を出てくると、部長さんが一人で帰ろうとしているところ、発見。

「お話があるんです」と誰かが近寄ったら、それはもう無視して帰るわけにはいかない。
全員が同じ愚痴を言い合ってきたのだ、ここは行動を共にしなければ。
慎重派の人も皆、全員で部長さんを取り囲む。

そして日頃の不満をそれぞれに訴えた。
わたしも言った。「皆で本当に頑張ってやってきたので、そういう行為がとても残念です」と。
まあ、ちょっといいカッコなセリフだった。
言いたいことは皆が全部言ってくれたので、フォローに回ったのだ。
女性が感情的になって文句言ってるわけじゃないんですよ、という。

もうこれで終わりの仕事だ。
こんなことで何一つ変わりはしないだろうが、溜飲は下げたのだった・・・・・・

終わりが近くなって・・・

終わりが近くなってきた。
女性スタッフたちはとても仲良くなったので、終わるのが残念なくらいだった。
たぶん、リーダー『男性』さんという共通の敵がいたから、余計に結束することができたのだ。
――まぁ、「敵」は大げさな表現だけど。
仲間意識が強くなり、互いに気を配りあって仕事を進めていた。

もうすぐ、この中の1人に最後の日が来る。
そして次の1人に――。

そうして少しずつ人数は減っていき、最後は『男性』さん一人になる。
終わりの頃になれば、ドクターたちも慣れているので、人数はそれほどいらないのだ。
でも『男性』さんだけは、「一番能力の高い」リーダーなので、最後までシフトに入っている。

今までずっと浮動のシフトだったが、最後の2,3日は『男性』さんも固定だ。
シフト表の外科、とか、内科、なんてところに名前が書いてある。

そうなってきて『男性』さんの態度は変わった。

これまで朝夕のミーティング時の態度は、少しばかり偉そうな感じで、投げやり風。
「まあ、僕は何でも知ってるから、こんなミーティング意味ないけどね」って感じだった。
それがちょっと必死になってきた。

「その質問ってこういう意味ですか? どうやって答えましたか? それってこういうことですか?」
と誰かの発表に対して根掘り葉掘り。
さらには「こういうことを聞かれたら、どういうふうに答えますか?」というようなことを振り始めた。

激戦をくぐり抜けてきたわたしたちにとっては、呆れるセリフが多かった。
「それってこういうことですか?」
――違うよ! 今頃何を言ってるの!? それはさんざん質問されて、毎日ミーティングでも言ってたことでしょ!
「こういうことを聞かれたら、こうやって答えればいいってこと?」
――何を今さら、そんな基本的なこと言ってるの!? そんな質問、もうないよ!

またもやブーイング。

研修のとき「僕はもう全部分かってるから。やる必要ないんで、どうぞ使って」ってパソコン譲ってたのは、どうなった?
「結構、ずっとこういう仕事してて、リーダーも何回もやったから。こういうシステムはどれも同じなんで、飽きたくらいですよ」とか言ってなかった?

わたしの中の意地悪な気持ちが頭をもたげる。
前にも出た質問のときは、「今日は特に新しい質問はありませんでした」ってミーティングで言っちゃう・・・・・・

チームリーダーとの攻防 3

女性はいきなり事を荒立てたりしたがらないが、いつまでも解決しないまま時が経つと性格が出てくる。

でも言ったからって何になるの?という、慎重派。
断固許すべきでない、派遣会社に言おう、という正義派。

中には本人をつつく人も現れる。
「『男性』さん、いつもどこにいるんですか?」

おお~!
聞いている者は皆、耳をすませる。

「いや、あちこち回って――。後はミーティングの時の内容をまとめたりしてるかな」

ふう~ん。
――そして、後から精神(科)の通路に集まったときなどに、不満がまた爆発。

「ミーティングの内容をまとめるって、何時間かかるっていうのよ!」
「絶対、ありえない。そんなにかかるわけない」
まあ、ね。
まとめたものを印刷して配ってくれたこともないし、わたしたちは朝夕、各自筆記してるんだもんね。
何のためにまとめているんだ、最後に派遣会社にでも提出するわけ? 仕事が終わってから?
なんて気持ちも起きようものである。

しかしこの質問をされた後、『男性』さんはお決まりの休憩室から姿を消した。
新たな場所を見つけたのか、それともずっと控え室辺りにいたのか、とにかく他の場所に移ったようだ。

だけど、一度も外来のわたしたちが働いている近くには来なかったのである。

お昼に食堂で『男性』さんを見かけたりすると、またイライラが募る。
「食堂にいたよ!」
「いい気なものだよね、こっちは交代でお昼に行ってるのにさ~」
「好きな時間に好きなようにお昼に行けるんだもんねー」
「12時ぴったりに来てたよ!」

正直、彼にとってはおいしい仕事だったろうと思う。
ホント、仕事してなかったから・・・・・・
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