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ある秋の一連の日記 08:Excel応用

パソコン入門&タイピング、そのあとはExcel基礎と続いていたVさんとWさんは、Excel応用は受講しなかった。
そこまでは必要ないということで。

VさんとWさんがやっていたのは、「基礎」といっても、その中でも基礎――入門編といったほうがいいような内容で、それもまだ自力で作り上げるところまではいかない。
でもいいのだ。VさんとWさんは、もう少し後のWordにも来ることになっている。
Wordはその頃、1週間ほどやっていて、長い講習だった。
Wordのほうも別にたくさんの機能を覚える必要はないので、毎日WordとExcelの基礎を半々で練習しましょう、と話していた。もちろん、正しい指位置で。パソコンの起動・終了もして、ファイルを保存したり、印刷したりもする。
これまでのすべてを毎日復習して、どんどん慣れてもらえばいい。

Excel応用では、Xさんにかなりの比重がかかるはずだ。

――と思ったら、また新たな人がやってきた。
Yさん。この人も若い。

電動車椅子。――つまり、自分で手でタイヤを押して動かすことはできない。上肢にも麻痺があるということだ。

そのほかにもいて、たぶん4人くらいいたのではないかと思う。

今回一番手助けが必要だったのは、このYさんだった。

やる気があって、実際にちゃんとやる。地道に作業する。
ただ遅れがちである。
テキストの言っていることが理解できないわけではない。一度やったことをすぐ忘れてしまうわけでもない。
ただ遅れがちである。

放っておいて、その人のペースでやってもらうのもよかった。
今ならそうしたかもしれない。
自分のペースでできたほうが、やりやすい場合も多い。

わたしが手助けしているのなんて、それほどのことでもなかった。
どこに入力すべきか迷っているときに、「このボックスに入力します」と指してみたり、遅れ気味なとき「ここをクリックしてください。そこに***と入力してください。そうしたら、これをクリックしてください」というように口で説明してしまったり。

時間がかかっても自分でやってもらうというのもよかったかもしれない。
または、説明だけはこちらでしてしまって、操作は「ここの①から順番にやってみてください」とやってもらってもよかった。説明を理解しようと考えていると時間がかかってしまうことは、よくある。

なんとなく、みんなからあまり遅れないように、と思うと、つい口を出してしまっていた。

こういうときXさんは人に譲ってくれて、わたしを呼んだり、長く独占したりすることが少ない。

ありがたいのだが、その分、終わってから「こことここが――」となって、マンツーマンでずーっと付き合わなくてはならない。
30分程度で終わったことはなかったと思う。

あるとき、わたしはキャップ付きのUSBを持っていたのだが、帰ろうとしたらキャップがなくなっていた。
結局、どこからも出てこなかった。

わたしは、USBを持った状態でXさんに呼び止められ、ずーっと筆談で説明をしていた。
花咲さんがやってきて、「まだやってるんですか。Xさん、頑張りすぎないで。また明日もあるんだから」と言い、Xさんはニコニコ「はい」と答えて荷物を準備した。
なにしろすごい紙の量である。しかも散乱している。
Xさんは、とにかく全部かき集めて、トントンとしているが、多少揃っていなくてももう気にする余裕もない。
素直で真面目な人なので、帰りなさいと言われたら「あ、早く帰らなきゃ」と焦るのだ。
ガーッといろいろなものをかばんに流し込むようにして、慌しくおじぎをしながら帰っていった。

あのかき集めた紙の間にはさまっていたのではないかと、実はひそかに考えている。

花咲さんは子供を何人も育て上げた、しっかり者のお母さん世代だ。
「Xさんももうちょっと落ち着いて、あんなに心配性にならなければいいのにね」

でも子供を育て上げた人だから、分かってる。
「まあ、言ってもなかなか、性格だから直らないでしょうけどね」

「先生も、もう時間だからって、切り上げて帰らないとダメですよ」
「ですね」

でも言われてもなかなか、性格だから直りませんけどね・・・・・・



●8年目:いろんな出会い
Chapter 4 どこかの誰かのストーリー



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