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ある秋の一連の日記 11:そしてWord

またVさんとWさんがやってくる。
Wordのスキルアップ研修だ。

Wordは久しぶり。
Excelの需要はうなぎのぼりだが、Wordのほうは減っていた。だいたい使えるし、複雑に使うことは特殊な職業以外ないし、会社によっては使わないこともある。文書だってExcelで作っちゃうんだから。

VさんとWさんに、Excel応用から来ているYさん。

前回のAccessと、前々回のExcelのときは、Yさんのところにいることが多かったが、VさんとWさんがいてはだめだ。VさんとWさんにつききりになってしまう。
2人とも、「へぇ~、なるほど」と言ったりしても、忘れちゃう。何度も何度も同じことを繰り返す。

でもふたりともすごくパソコンに慣れた。

特にWさんは、最初のときから比べると、見違えるよう。
Vさんのほうは会社でも少し使っていたそうだけれど、Wさんはまったく初めてだった。

家にパソコンはあると言っていた。
「でも息子の」「自分は触らない」と笑顔で言う。

掲示板に自分の言葉で入力してもらう練習のときは、「てにをは」が適当すぎて、文章の意味が通らないことばかりだった。
SNSその他ネットでの交流や、携帯やスマートフォンでのやりとりが増えた世代は、「てにをは」が苦手な人などいなくなったが、Wさんはその前の世代だ。
でも新聞はいつも持っていて、電車の中で読むと言っているのに、そこは不思議だ。

前回の復習で、「まずExcelを少しやってみましょう」とやってもらったら、今までとは違ってサクサクできた。
もちろん全然サクサクなんてしてないんだけど、「何から手をつけていいのやら??」とフリーズしていることはなくて、自然にセルをクリックして入力を始められる。

わたしがいつも驚かされるのはこういうとき。
わたしが何をしたわけでもないのに、勝手に自分でブレイクスルーしてる。
スクールだけじゃなくて、PCインストラクターとしてほかで講習をしたときも思った。
わたしの役目って、「教える」とかじゃなくて、きっかけを作ったり、場を整備したりするだけなんだよね――と思う。

――ほんの2問の小さい表作りだったのに、1時間以上かかってしまったけれど。

Wordに入っても、問題なくできた。

Wさんは入力もだいぶ早くなった。
日本語も覚えた。読めない字は積極的にメモしていた。

どうも前と違う・・・・・・?

聞いてみたら、「会社で少し教えてもらった」と言っていた。
前に来ていたときは、「会社ではパソコンは使わない。**の仕事だから」と言っていた。
会社側は「定年後のためにパソコンを覚えてもらえたら」という、ちょっと切実な様子だと聞いていたが、それはご当人には伝わっていなかったようだ。
「どうせ仕事では使わない」と思っていた気持ちに、変化があったのかも。

やる気ってすごい。

もちろん、全然仕事レベルには達していないんだけど、でもとにかく最初から比べたらすごい進歩なのだ。
そして進歩できるってことは、この先も会社で進歩していけるってことなのだ。

わたしの仕事としては、成功したと言えるのじゃないだろうか。

VさんとWさんは、断続的にやってきたスキルアップ研修がついに最後。
3ヶ月にわたってスクールに来ていたが、このWordで終わり。
感慨深いものがあった。卒業って感じ。

一番最初のスキルアップ研修のBさんを思い出す。
正確には2度目だけど、最初のはイレギュラーだったから。
あのときもパソコンが初めてという聴覚の人で、Bさんも製造ラインの人で、会社の意図が伝わっていなくて「自分はパソコンは使わない」と言っていた。
あのときもフォルダやファイルの説明に苦労して、あのときも途中ブランク時期に会社に行ったときパソコンを使ったら、ちょっとやる気を出してくれて――

わたしの仕事としては、こうして常に送り出していくんだなぁ、と思う。
あまりにスキルアップ研修に集中していたから、明日はまた派遣の仕事に行くなんて、嘘のようだった。

翌月にもPowerPointのスキルアップ研修があるはずだった。
でもこれは中止になった。受講者2人が、どちらもキャンセルしたからだ。

1週間ほど空いて、次週の終わり頃からの文書作成術のスキルアップ研修が、この年の最後になる。
時期的に、冬はスキルアップ研修はほとんどない。――いろいろな事情があるのである。

このWordの間中、Yさんには一人で黙々とやってもらうことが多かった。
最後の研修は、今のところYさんしか申込者がいない。
しかしこのまま行われるだろう。
今度はYさんとマンツーマンの3日間になる。

Yさんとはまたそのときに会うし、ずっと2人で過ごすことになるので、わたしはVさんとWさんの卒業の感慨に思う存分ふけった。

VさんとWさんが、なかなか筆談が通じなかったりしたので、休憩中の会話などはやむにやまれず手話を使ってしまった。
手話検定を受けることで手話ボキャブラリーを増やそうと勉強したりしたが、ブロークンすぎるカタコト手話で会話をする勇気は出ないままでいた。
「英語上達の秘訣は、下手でもとにかく話すこと!」とよく言うし、手話も同じだと思うが、やっぱり勇気は出なかった。

でもVさんとWさんとの怒涛の3ヶ月で、さびついた記憶の引き出しから手話単語を引っ張り出し、カタコトで話すようになった。
それから先は、もう誰とでも、カタコトなことなんて気にせずに手話で会話することができた。

VさんとWさんによって、わたしもブレイクスルーしたのだった・・・・・・



●8年目:いろんな出会い
Chapter 4 どこかの誰かのストーリー



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