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閑話:思い出話

知的障害のある成人の自立については、難しい問題かもしれない。

外国の映画ではときどき見ることがある。
知的障害のある者同士の恋。親は「あの子たちは責任を持てないのよ」と許さない。

日本のマンガでも、知的障害のある母親の子育てを描いたものがあるそうだ。
タイトルも忘れてしまったが、発達障害に関する公開講座を聴講したとき、そのことを話していた講師がいた。

知的障害があると、つい子供のように考えてしまうことが多い。
でも当人が「自分は子供だ」と思っているわけではない。本物の子供だって、12歳の子が6歳みたいに扱われたら「僕はもう12歳だよ」と言うだろう。
知的障害があるからといって、何も分からないわけではないので、当然自分が25歳だとか30歳だとか、年齢くらい分かる。他の大人と同じように働いたり、収入を得たりしたいと思う。人は恋をするものだってことも知っている。――日本ではあまり触れられない問題だと、公開講座の講師も言っていたが、性欲だって芽生える。

かといって、一人暮らしをさせて、仕事に行くのも生活をするのも、遊びも恋愛も、何もかも好きに任せればいいのかというと――それはそれで、どうなんだろう?

「何かあったらどうする?」が合言葉の日本、スクールでもやはり、それなりの予防策をとらなければならないようだ。

ほかの障害の場合は、本人たちが申し込み、説明会にも入校式にも本人たちだけが来る。
でも知的障害の場合は、親御さんが一緒に来る機会が多い。
どのコースを希望するかも、本人だけでなく、親御さんの意見にかなり左右される。

休みの連絡も親御さんがすることもあるだろうし、スクール側も親御さんに直接話すこともあるだろう。
通っているのはみんな、就職しておかしくない年の人ばかりなのだが。

スクールではどの実習生さんについても、出欠をきちんと管理しているが、知的障害クラスとなるとさらに厳しく管理されている。
だってやっぱり、何かあっては困る。

大人の年だし、仕事に就いてまで毎日誰かに送り迎えしてもらうわけにはいかないから、みんな自分で通ってくる。
だけど、家を出たかどうか、スクールに着いたかどうか、スクールを出たかどうか、先生たちは把握しておくべく留意している。

ちょっと上の、責任ある立場の方が以前、話していたことがある。
「あのときは大変だったなぁ。大騒ぎでね。**まで行っちゃった実習生がいてね」

**は、途中で特別料金のかかるスーパー特急も使って2時間以上かかる場所だ。
**なんて、スクールのある場所から、ふらっと行くような土地ではない。

「いや、朝はね、いたんだよね。出席をとったときはいて、実習をしているときに何かちょっと注意されたらしいんだよね」
――はあ、それで。
「何も言わずにふらっと出て行ったらしくて、休憩時間が終わっても戻って来なくて。あれ?いないってんで、あちこち探してね」
――そうでしょうね。
「まさか外に出たなんて思わないから、トイレから休憩室から、思いつくとこ全部探して。もう知的クラスのスタッフ総出でね。私も報告受けて走り回ってさ」
――大変でしたね。
「家に帰っちゃったんじゃないかってことになって、携帯に電話してみたら、出てさ。今**にいるって言うんだよ。こっちはスクール中探し回ってたのにね」
――うわー。
「**だよ!? 行かないでしょ、普通、休憩時間にふらっとさ」
――かなり遠いですからね。ちょっとした旅行ですよね。
「本人、何も悪びれてないんだよね。ああ、ちょっとなんとなく行っちゃいました、って感じでさ」
――でしょうね、なんか想像つきます。
「お金持ってるからさー。行こうと思えば行けちゃうんだよね。子供じゃないからさ」

まさにその一言に尽きる。
子供じゃない。

まさか小銭や千円札1枚だけで外に出すわけにもいかないだろう。
子供が一人で平日に行動しているわけでもないから、不審な目でも見られない。
好きなところに行くことができる。

この話にオチはないのだけれど、忘れられない話なので、ここにはさんでおくことにする・・・・・・



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■まえがきにかえて(おことわり)■



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