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ある秋の一連の日記 09:人生の先輩

XさんとYさんが来ていたExcel応用では、他にも受講者さんがいて、その中にGさんがいた。
Gさんは内部障害で、外側からは障害があるとはまったく分からない。

わたしはいつも初日に簡単な自己紹介をしてもらうことにしている。
Gさんはそのとき「自分は内部障害があり頻繁に室外に出たりするので、気が散るかもしれないがご理解ください」というようなことを付け加えていた。

期間中に会話の折りに聞いたが、外側から分からない内部障害の場合は、誤解されることもよくあるという。
内部障害とは、内臓など体の内部に障害があることだ。
車椅子だなとか、足が悪いんだなとか、見えない・聞こえないのかというような、見て分かる障害ではない。
たとえば頻繁にトイレに行く必要がある障害だったりすると、「あいつはいつもサボっている」「休憩ばかり行っている」と思う人がいる。
長い時間立っていられない障害があって優先席に座っていると、「若くてどこも問題ないのに席を譲らない」と非難する人がいる。
――そういう誤解を受けやすい。
最初に挙げた会社のトイレ問題などは、もし言ってくれれば「自分はこういう障害があるんです」と説明することもできるが、陰で噂されていると反論しにくい。

なるほど、そういう経験があって、最初に伝えておくわけですね。

Gさんは、今のわたしの年齢よりは若かったかもしれないが、当時のわたしよりは年上だったと思う。
人生経験の深さを感じた。

Xさんなどはまだ若くて、会社でも新入社員。
緊張していて、なんとかして頑張りたいと思うあまり、すさまじい質問魔と化していた。

Windows基礎の後半からやって来て、Excel基礎でも質問責め、確認責め。
いよいよExcel応用になって、「この関数については応用編のテキストに出てくるから」と後回しになっていたことも根掘り葉掘り聞かれるので、辟易しつつあった。

――まずい。講師がそんなことを思ってはいけない。

わたしは必死で自分を立て直そうとした。
なかなかその場で立て直すのは難しい。一日が終わったら忘れて、「明日は気持ちよく過ごそう」と自分をリセットする。

ところでわたしはいつも、「せっかく同じ教室に集まったのですから、ぜひ交流をして――」的なことを最初に言う。

Xさんにも「Gさんは社会で働く先輩でもあるのだから、社会人としての知識を聞いたりして勉強しては」と伝えていた。
Xさんは本当に聞きたいことがあったのか、わたしに言われて何か聞かなければと思ったのか、Gさんに会社のことについて質問していた。

筆談などで使った紙を、いつものように「持ち帰りたい」と言ったとき、Gさんは教えてくれた。
「ここには会社名なども書いてある。誰が見るかも分からないから、安易にあげることはできない。そういうことを頼むのもあまりよくないことですよ」

Gさんは自分も苦労をしている分、社会人として厳しい一面もあった。
「Xさんが教えてほしいというから、私は休憩時間を使って教えた。Xさんの会社の先輩でもなく、教える義務は本当はないが、好意で答えた。しかしXさんから感謝する言葉がなかった。教えてくれたことに対してや、時間を割いてくれたことに対して」

「会社でも同じだよ。仕事のやり方でも何でも、教えてもらったらお礼を言うこと」

確かに、Xさんほど熱心にずっと説明を求められ続けたら、「俺だって自分の仕事があるんだよ」と上司や先輩は思うかも。
実際に各自に仕事はあり、遅れればその分自分がつらくなる。

聴覚障害があるから、Xさんには不安もある。
きつい業界なだけに、より一層不安があるかもしれない。
Xさんを責めるわけにはいかないが、現実としてはXさんも改善していかないと、会社でうまくいかなくなる。
わたしも花咲さんも、会社についていってあげるわけにはいかないのだ。

Gさんの人生の先輩としての薫陶が、Xさんの糧になるといいが。

なんだかわたしは、Gさんに頼ってしまったな・・・・・・




●8年目:いろんな出会い
Chapter 4 どこかの誰かのストーリー



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