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補助スタッフさん 03:長島さんとご両親

長島さんはご両親と仲が良かった。

「昨日は飲み会だったんですよ。学事グループも全員行きましたよ」――と、これは忘年会シーズンだったろうか? それとも歓送迎会シーズン?
「へぇ~、満願寺さん、学事グループ全員て、長島さんもいらっしゃるんですか?」
「行きましたよー。彼はけっこうお酒飲めるって言うんですよ」
「そうなんだー!」
「お父さんが家で晩酌するとき、ちょっと付き合うんだそうです」
「父と息子ですかー、いいですねー」
「あとよく、お父さんと一緒に飲みに行ったりもするらしいですよ」
「へぇー」
「だから僕は結構飲めるんですよ、みたいなこと得意げに言ってましたよー」
「長島さん、どんなお酒を飲むんですかね?」
「サワーとかよく飲むって。ハイボールもよく飲みますよ、みたいなこと言ってましたよ」
「かーっこいいじゃないですかー」

そうやって長島さんが遅くなるときは、お父さんが途中まで迎えに来てくれたりする。
「それで、そのあとまたお父さんとどっかの店行って飲んだって言うんで、はしご酒かーってツッコんどきましたよ」

年齢はもうお酒もたばこも飲める年なのだから、はしご酒してもそりゃいいか。
でも長島さんは、どことなく可愛らしさがあるので、意外だ。満願寺さんがつい話したくなるのも分かる。

長島さんは相当恰幅がいいが、
「おばあさまやご両親がすごく可愛がって、好きなものをたくさん作ったり買ったりしてあげるから、体格がよくなったらしいですよ」
とのこと。

いったいどこの誰からの情報か不明だが、たぶん長島さん本人の話からの推論だろう。

兄弟だったか姉妹だったかがいて、健常者だ。
家族全員、とても仲がいいらしい。

最初のうち緊張でガチガチだったであろう長島さんだが、すっかり慣れた。
満願寺さんを馬鹿にすることに闘志を燃やし、慣れた強みで学事グループでは自分を出せるようになった。
あまり慣れすぎると、仕事がなあなあになるので要注意ではあるが。

そんな長島さんも、期限が来ればスクールを巣立っていくことになる。

いよいよ今年度で終わりという年、半分も過ぎた頃には就職活動も始まった。
そのときはスクールの仕事を休むなり、遅刻早退するなりしていい。就活優先だ。

「スーツも買ってもらって、ビシッとしてますよ」
「もともと長島さん、貫禄ありますもんね」
「若社長って呼ばれてるくらいですからね」(もちろん、そのように見えるねという陰の愛称であって、公のニックネームではない)

ご両親は、慣れたこの職場でずっと働ければ息子にとって最高なのに、という思いがあるらしい。
でも決まりは決まりでもあるし、長島さんは「素直ないい子」といった印象なので、きっと就職先が見つかるだろう。この枠には、また別の、支援が必要な人がやってくる。

わたしは長島さんのご両親は見たことがないが、赤目さんのご両親はたまたま会ったことがある。
学校公開に来ていたのだ。
赤目さんとご両親が歩いていて、わたしは何の考えもなく「赤目さん!こんにちは」と声をかけてしまったのだった。
学校公開では、タイミングにもよるのだが、出会うときはいろいろな人に出会う。
そのとき現に実習している実習生さんたちや、先生方はもちろんだが、卒業した人たちが遊びに来たりもする。遠くに異動した先生が見学していることもある。
わたしなど持ち場にいるわけではないので、廊下を歩いていて知った顔があると「こんにちは!」「あ、**さん、こんにちは!」「あ、お久しぶりです!」とおぼろげな記憶であいさつしていく。
だんだんテンションが上がって、赤目さんと出会ったときも「知った顔」→「こんにちは!」と反射的に声をかけてしまったのだった。

赤目さんは当時まだスクールで働いていて、わたしはスキルアップ研修で何日かおつきあいしていたので、「あ、知った顔!」と即反応してしまった。

長島さんは、就職も無事に決まったと後から聞いた。わたしは毎日スクールに行くわけでもないので、3月4月は気づいたら人が入れ替わっている。
翌年の学校公開で、わたしは長島さんを見かけた。たぶんご両親と来ていたのだろうけれど、そのときは長島さん一人で歩いていた。

あのときは、花咲さんも長島さんを見つけて、「長島さん! 来てたの!? ちゃんと**さんたちにも会った!?」と話しかけていた。
でも花咲さんに「ちゃんと**した?」と注意されたりするのが嫌なのか、ものすごい勢いで歩いて立ち去ろうとしていた。花咲さんは「長島さん! ちゃんとあいさつしたの?」と速足で追いかけていた。

そういえば、あのときの光景は忘れられない・・・・・・



●8年目:いろんな出会い
Chapter 4 どこかの誰かのストーリー



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