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「誰でも最初は素人」論

10年もスクールに通い続けて、何度も講習をして、わたしにはわたしなりの理論や方法論ができた。
それはもちろん完璧なものではなく、何かあるたび更新されていくものなのだが、何もなかった働き始めと比べると大きな成長だ。

あるとき似たような立場の先生と話をしていたら、その人にも持論があった。
わたしと同じような立場、つまりスタッフではない人だ。レギュラーでもテンポラリーでもない。アシスタントテンポラリーでもない。ごく限られた講習だけにやってくる講師。
その人は年数でいえばわたしの3分の1だし、年間の出勤時間もわたしの3分の1くらいだと思う。それでも持論に確信を持っていらした。

なるほどねぇ、というところは参考にさせてもらったが、中には「え、そうですか?」という部分もあった。
わたしたちは最初から福祉を目指してきたわけではない。でも年月が経つうちに持論ができていく。
それは果たして、正しいのだろうか?

素人医者のようなものだったりしないだろうか? あるいは門前の小僧だったり?

素人考えは怖い。良かれと思ってしていても、逆効果になることがある。
だからわたしはどうしても引け目みたいなものが消えないのだった。

しかしあるときふと気づいた。
国家試験に受かった人だけが医者だというのなら、スクール全体が壮大な素人集団とも言えるのでは?

自分が知っている江津先生は、資格や学歴を考えると別に専門家ではないということになる。
障害者を教える資格というのを聞いたことがないし、江津先生は別に障害や福祉の専門課程で学んできた人ではない。
でももともと知的障害者に対応するNPOなどにも関わっていたり、スクールでテンポラリースタッフとして働いていたりするので、自他ともに認める大家のようになっている。

知っているアシスタントテンポラリーを思い起こしてみる。
誰一人、専門の勉強をしたわけではない。
でもアシスタントテンポラリーだって、長年いればベテランになって、堂々と教えているし、対応もしている。

みんな、自分の経験から自分なりの持論があり、経験が違えば持論も違うことがある。
事例を共有する場は少ない。
場があっても、自分の経験や持論に立って聞くから、人の持論を取り入れるのは難しい。同じ事例を聞いても、思いは違ってくることもある。

そんなことを思ってからしばらくして、「今年の新入レギュラースタッフ」という人に会う機会があった。
PCプラクティスを見学に来たのだった。
聞いてみたら、入社というか入校というか、とにかくスクールに入ったばかりの4月は、研修漬けだったという。
どこの会社でもやるような、新入社員研修ってやつ。会社の仕組みや組織構成や、コンプライアンスや歴史なんかも聞かされたりして。ときにはどんなふうに出退勤が記録され、部屋部屋のセキュリティはどうなっているかなど。
そういう研修の中に、障害者についての講習もあるのだそうだ。
「それぞれの障害の特性についてとか、対応の仕方などを学ぶ講習なんです」

わたしは聞いてみた。
「どのくらいの期間なんですか?」
「2週間くらいですね」

いくら学んだって、同じ障害名だって各人さまざまな特性を持っている。画一的に対応するだけではうまくいかない。
結局は経験を積んでいき、その中で先輩や上司もいろいろ教えてくれるってことか。オン・ザ・ジョブ・トレーニング的に。

新入社員的な先生は、まだ教えるほうもそれほどやっていない。
見学している間見るのに「テキストをお貸ししましょうか?」と聞いたら、「いえ、大丈夫です。このテキストは先週一通りやってみたので、分からない内容はありません」と言う。

そうじゃないですよ。わたしだって、今どきの大卒のあなたがこんな基本的な使い方を知らないなんて思ってません。
そうじゃなくて、講習を進めているとき、「ここではこんなふうにつまずくことが多いのか」とか「こんな説明を付け加えるのか、それはいいな(悪いな)」と確認できるようにだよ。
自分でテキストの操作をやってみるのと、フォローするのとは違う。そして講習を進めるのは、これまた違うんだよ。

もちろんその新入社員的な先生はレギュラースタッフだ。
先輩や上の方々の指導も厳しい。テンポラリーやアシスタントテンポラリーの先生たちより、早く深く学んでいくかもしれない。
ましてわたしなど、あっという間に知識も経験値も追い越されるだろう。

でもアシスタントテンポラリーの先生だってベテランの域に入っている人はいるが、やっぱり最初は素人だった。
レギュラーさんだって、やっぱり最初は素人なんだ。

つまり、みんな経験値でしかない。

――ということなら、わたしも既にベテランだな。

ただ自分は、正しい知識を身に着けられる機会も少ないから、間違っていると分かったら柔軟に変えていかなければ。
そのことは忘れてはいけないと思うけれど、まあ、わたしもなかなかのベテランなんだ・・・・・・



●9年目:ハートの中心
Chapter 1 ハートの中心



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